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ボーダーライン 3話
いくら求めても足りない。
キスを何度もして、互いに求め合う。
生きているんだと実感したい。
「ありがとうタケル」
yoshiは可愛く笑う。
「さっきの話……本当ならいいなあ。お父さんが俺に会いたくて産まれて来たって」
「そうだよ。会いたくて、君に巡り会ったんだよ。私もきっと嘉樹に会いたくて産まれてきたんだと思う。親に捨てられると分かっていても、どうしても嘉樹に会いたかったんだ」
その言葉でまたyoshiはポロポロと涙を零す。
「本当に君は泣き虫だ」
豊川は指先で涙を拭う。
「タケルが泣かしてんだよ、ばかあ」
嘉樹は豊川に抱きついてワンワン泣いた。
久し振りに……
本当に久し振りに声はを上げて。
子供の頃から声を殺すのが当たり前になっていた。
泣くと誰かが哀しい顔をするから。
泣くと誰かが怒るから……
でも、目の前の人は微笑んでくれる。
優しい顔で自分を包んでくれる。
泣いてもいいんだって思える。
我慢なんてしなくていい。
声を殺して泣かなくてもいいんだ。
だって、抱きしめてくれるから。
泣いても哀しい顔なんてこの人はしない。
怒らないし、ぶたない。
愛していると言ってくれる。
沢山泣いても大丈夫なんだと安心できた。
◆◆◆◆◆
「ほら、ホットミルク」
風呂から上がりリビングのソファーで豊川のシャツ1枚だけのyoshiはホットミルクが入ったマグカップを受け取る。
「ありがとう」
そう言って微笑む彼は少し幼く見えた。
散々泣いたからかもしれない。
それとも、心が少し軽くなったから?
それならどんなにいいか……豊川はyoshiの頭を撫でる。
「髪を乾かすからじっとしてて」
豊川に髪を乾かして貰うは好きだ。
優しい手は父親を思い出すから。
寂しくなるはずのに、楽しかった思い出ばかりが浮かぶから幸せな気持ちになれる。
ホットミルクからは甘い蜂蜜の香り。
子供扱いしないで!ってたまに怒るけど、嫌いじゃない。
だから、ウトウトしてしまう。
「おっと!」
豊川は落としそうになったカップを受け止める。
「あ、ごめん」
声に気付いて目をあける。
「眠い?」
「んん?大丈夫。タケルの手が気持ちいいから」
「なんかエロいな」
「どこが?!」
yoshiは振り向き、エロ教師!!と睨む。
「第二ラウンドするか?家庭教師と生徒」
「そんなに気に入ったの先生と生徒?」
クスクス笑うyoshi。
「泣き顔も好きだけど、笑った方がいいね。やっぱり」
豊川はそう言うと髪にキスを落とす。
「抱っこお」
yoshiは両手を伸ばす。
「やっぱり眠いのか?」
豊川はドライヤーを置くとyoshiを抱きしめる。
「ううん、眠くないよ。抱っこしてほしいだけ」
「そうか、いくらでも抱っこしてあげるよ」
「タケル………さっきのやつ。俺はタケルに会いたくて産まれてきたんだと思う。お父さんにも……たとえ、過ごす時間が短くても、やっぱり会いたいもん。」
yoshiは首筋にギュッと抱きしめる。
「うん、出会ってくれてありがとう」
「ほんと、タケルってキザ」
「嫌いか?」
「好きに決まってんじゃん!」
「じゃあ、確かめ合う」
背中に回した手がオシリへと伸びる。
「もう!!」
yoshiは拗ねたように豊川をみつめ、やがて唇を重ねた。
「やりたいけど、夜までおあずけ」
「なんで?」
豊川は聞きながら首筋を舌を這わす。
「んっ、……だって、弁当作る約束……」
豊川の舌は首筋から耳朶まで這ってきた。
「んんっ、あっ……」
耳朶を吸われ、軽く噛まれる。
そして、オシリに伸びている手は両手を使い揉んでいる。
「だめだってばあ」
「はいはい」
豊川は息が乱れたyoshiから離れると、
「おあずけの罰として、そのまま料理すること」
そう言った。
「もう!変態!!なんでおあずけの罰なんだよう!」
ぷんすか怒るyoshiはひたすら可愛いだけだった。
◆◆◆◆
「なにその写メ?」
携帯をいじるナオの隣り写メを見つめる拓海。
「さっきyoshiが送ってきた。豊川さんの着ていた制服みたい」
「へえ、似合うなあ嘉樹。しかもマジで高校生みたいだ」
「あの子童顔だから」
「俺もまだ似合うよ?今夜着て襲ってあげようか?」
「それもいいかもね。」
ニコッと微笑むナオ。
「じゃあ、ナオは白衣きてよ!」
「お医者さん?」
「ちがう、ドラマのガリレオっぽいだろ?教授か、科学の先生って感じでさ」
「なるほど、それはオモシロイ!」
「ナオ!!いまの超似てた!!もっかいやってえ」
「何を騒いでんだ?」
騒ぎをききつけ、光一が側にきた。
「あ、光一さんもみます?嘉樹のコスプレ」
拓海はナオから携帯を奪うと光一にyoshiの写メを見せた。
「えっ?よしき?なんで?」
写メの彼は自分が高校の時着ていた制服を着ている。
しかも、すごく似合っていた。
「社長の制服ですよ」
「豊川の……」
「その写メ、光一さんにも送りましょうか?」
ナオがそういうと、頷く光一。
もし、手放さなかったら見れたかも知れない制服姿。
ちくんと、心が痛む。
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