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ボーダーライン 9話

◆◆◆◆ 急いで言われた場所へと来てみると拓海が待っていた。 「目眩がするみたいでロケバスで休ませてます」 それを言う為に待っていてくれたようだ。 「発作は?」 もしかして、喘息の発作が出たんじゃないかと一瞬焦る。 「発作はないです。ただ、社長に凄く会いたがってて、俺とナオじゃダメみたいです」 「何かあった?」 「さっき、光一さんの下の息子さんが来て……それから具合悪くなったみたいで」 「智也くん?」 名前を出されて拓海は頷く。 そうか、やっぱり……… やはり、どちからを立てると、どちらかが倒れるんだな。と苦々しく思う。 ロケバスの中へ行くと、少し顔色が良くなったyoshiがナオといて、豊川の姿をみると、 「タケル」 と不安そうな顔になった。 「目眩は?」 豊川はyoshiの側へいき、頭を撫でる。 「治まった。ごめんねタケル、仕事してた?」 不安そうな顔は豊川を呼び出してしまって申し訳ないという気持ちの表れ。 「仕事してなかったから大丈夫だよ。挨拶は全部終わったし………だから、家に帰れる。帰るか?」 「本当?うん……」 yoshiは豊川の身体に抱きつく。 「そうか、じゃあ戻ろう」 「ねえ、ナオと拓海も一緒でいい?ナオがね、タケルんち見たいって」 豊川を待つ間、ナオは気をまぎらそうと色々話していたのだ。 「いいよ」 抱きついてくるyoshiの身体を抱きしめて返事をする。 ◆◆◆◆◆ 「ご飯、マコちゃんも行こうよ」 智也はマコトの手を握り可愛くお願いをしている。 「え~、せっかくの親子水入らずだもん、遠慮するよ」 「水入らずって何?」 意味がわからずキョトンとする智也。 「水入らずの水って他人って意味だったかな?血が繋がらない他人がそこに入るのは悪いっていうか、邪魔したくないって事」 「マコちゃん邪魔じゃないよ!ね、拓也兄ちゃん」 拓也に視線を向ける智也。 「うん、邪魔じゃない。マコちゃんもきてよ」 「え~、コウちゃんがうんって言うかどうか……」 困った顔をするマコト。 「邪魔じゃないからマコトも来い!」 いつの間にか側に来ていた光一にそう言われ、マコトは一緒に行く事に。 ◆◆◆◆ 「デカイ!」 豊川の実家へ着き、車から降りた拓海の第一声。 「どうぞ」 と中へ案内されたナオと拓海はキョロキョロと辺りを見渡す。 「嘉樹は私の部屋で休むか?」 ソファーに座るyoshiに声をかける豊川。 「ううん、大丈夫。目眩は治まったもん」 yoshiは首を振る。 「そうか。でも、無理はするな、心配だから」 「うん」 「………ねえ、社長、俺ら邪魔なんじゃない?」 甘い空気になりそうな2人をからかうように言う拓海。 「邪魔じゃないよ。ゆっくりしていって。なんなら夕食も」 「あっ、そうだ。思い出した!」 豊川の夕食と言う言葉で弁当の存在を思い出したyoshi。 「これ、食べよう」 袋から容器を出してテーブルに並べる。 「yoshi、コレって……」 いいの?なんて心配そうに顔を見つめるナオ。 「拓海とナオに差し入れ」 ニコッと笑ってみせるyoshi。 「えっ?俺のもあるの?」 拓海の目がキラリと輝く。 「本当は現場で渡そうと思ってたんだけど」 「いや、いいよ。サンキュー」 お礼を言うと拓海は箸を握る。 「お茶用意してあげるよ」 豊川が気を利かせてキッチンへと向かう。 「えっ?豊川さん座ってて、僕がやりますから」 ナオは慌てて豊川を止める。 「ナオも座ってて、お客さんだから」 優しく微笑む豊川。 「でも、手伝います」 ナオは豊川の横に立つ。 「美味い。嘉樹の味付け、やっぱナオと同じ」 拓海は次から次へと弁当を食べていく。 「そお?」 「俺もナオに胃袋掴まれたけど、嘉樹も社長の胃袋掴んでるんだな……それと、コスプレプレイ」 拓海はニヤニヤしながらyoshiをみる。 ニヤニヤされたyoshiはとっさに首筋を手でカバー。 真っ赤な顔で、「拓海のエッチ!」と拗ねた顔をした。 ほんと、コイツってあざとい!! 「でも、制服プレイっていいよね。俺もやりたい。先生と生徒プレイ。社長はさしずめ科学の教師っぽい。白衣似合いそう」 キッチンにいる豊川を横目でみる。 「タケル、学校の先生になるつもりだったって」 「まじ?あんなイケメン教師が男の色気駄々漏れで授業するんだろ?ガリレオの教授みたいに女生徒が群がりそう」 「そうなったら俺が阻止する!」 「お前もモテそうだな……なあ、今度、制服貸して」 「2着あるからどうぞ」 お茶を手に豊川が戻ってきた。 「夏服とかですか?」 渡されたお茶を受け取りながら聞く拓海。 「いや、身長が伸びてしまって作り直したんだ」 「タケルの制服、俺にはブカブカだったよ」 ね?なんて、可愛く豊川を見つめてくるyoshi。 そのブカブカが萌た。なんて口が避けても言えない。 「じゃあ、俺にもデカイかもね」 「食べたら着てみる?」 yoshiは拓海を誘う。 もちろん、嫌って言うわけもなく。 着てみたい!!という返事が返ってきて、弁当を平らげた拓海とyoshiは2階へと上がって行った。

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