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COLOR 2話
◆◆◆◆
バイブレーターの音が部屋中に響く。
ベッドのシーツにくるまって寝ていた男性が起き上がりもせずに手探りだけで音がするモノを探す。
さ迷う手はようやく音を出しているモノを掴んだ。
自分のスマホだ。
くるまったシーツから顔を出し、眠そうな目をようやく開けるとを操作してバイブを止めようとする。
が、操作に手間取る。
チッ、男性は舌打ちをすると観念したようにベッドから起き上がる。
頭をかきながらスマホを再度見つめる。
「あー、もう!面倒くせえ!」
男性はベッドから降りると床に散らばった自分の服を拾い上げる。
「なんだよ、たたんでくれても良いのに」
辛うじて下着だけは穿いている。
その下着姿のまま、部屋を出た。
キッチンへと向かうと、女性の後ろ姿が見えた。
「なあ、バイブ止まらないんだけど」
女性の後ろ姿に声をかける。
「また?昨日も止めた方教えたのに」
おはようの一言もなく面倒くさそうな顔で女性は振り返った。
振り返ると長いサラサラの黒髪が流れる。
その黒髪がとても似合う女性。
綺麗な顔立ちの彼女はため息まじりに男性の側に行くと彼が手にしているスマホを受け取りバイブを止めた。
「しょうがないだろ?使っている人間は年代物なんだから」
「40年代物?」
女性はクスリと笑う。
「悪かったな」
そう言って男性は近くのソファーに座り、テレビへと視線を向けた。
ワイドショーが流れている。
「食べてく?」
女性が聞く。
「うん、リナを…」
男性はリナと呼んだ女性の腕を掴むと自分の上に座らせた。
リナはガウンを羽織っているだけで下着はつけていない。
少しガウンをずらしただけで彼女の白い肌が露出する。
鎖骨辺りに男性は唇を押し付けた。
「アトつけないでくれる?今日グラビアの撮影あるから」
リナは男性の顔を手で押しのける。
はいはい、と返事をしてふいにテレビに目をやると今、腕の中にいるリナが画面に映った。
シャンプーのCMで長い黒髪を自慢するかのようになびかせる彼女。
清純派として人気がある若手女優。
「本当、テレビって嘘つくよな。清純派ちゃん」
男性はからかうようにリナに笑いかける。
「嘘つきは自分もでしょ?あ、やばい遅刻する」
リナは男性から離れた。
「光一君だって愛妻家って嘘じゃん、不倫オヤジ!」
リナは仕返しのつもりかそう言って舌を出す。
リナが光一と呼んだ男性と彼女は年齢が離れた不倫カップル。
親子くらい年が離れている。
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