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COLOR 6話
光一は数曲、黙って聴いていた。
聴き入っていた……その言い方が合うかも知れない。
音が止み、我に返った光一は2人の方へ歩き出す。
彼らはもう帰るつもりなのか片付けを始めている。
「歌、上手いね」
黒髪の男性に声をかけた。
光一の方へ顔を向けた男性。
間近で見ると綺麗と可愛さが入り混じった顔につい、見とれそうになる。
「声に色がついてるって感じでさ、ざわついてる中でも君の声だけ聞きやすいし、聞き取れたんだ」
鼻息も荒くペラペラとしゃべる光一に呆気に取られているのか男性は黙っている。
やばい… 変なオヤジに見られているかも。
光一はかけていたダテ眼鏡を取った。
雑誌にもよく出るし、テレビにだって自分の名前が出ない日はない。まあ、ほとんどがスキャンダルなのだが。
でも、有名人なのは変わりない。
俺、知ってるだろ?アピール。
だが、男性の態度は冷たく、片付けを再開させる。
おっとお、俺知らない?
光一はなんだか虚しさも味わったが、ここで引き下がれない。
「無視はなしだろ!」
片付けをしている男性の手を掴んだ。
『なに?アンタ?』
ようやく男性がしゃべったかと思ったが光一は固まる。
話した言葉は英語。
えっと、
光一は途端に挙動不審になる。
英語は苦手。
『yoshi、トラブル?』
白人男性が近くに来た。
こちらも、もちろん英語。
だ よ ね!
彼らの歌は全部洋楽だったし。
『大丈夫だよ』
『yoshi、トラブルなら加勢するけど?』
『いい、大丈夫だから』
そんな会話も光一には所々しか分からない。
『で、何の用?』
yoshiって名前かな?なんて考える光一は愛想笑いしか出来ない。
光一が何も答えない(正確には答えられない)のでyoshiと呼ばれた男性は片付けを再開。
いや、いかん!このままでは逃がす!
光一は脳内で言いたい単語を英語に変換した。
『君、君が欲しいんだ』
yoshiと光一の間に一瞬変な空気が流れた。
あれ?間違えた?
戸惑う光一にyoshiはニコッと笑うと、
『ああ、そういう意味ね』
と言った。
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