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子猫
家が見えてくると同時に灯りがついているのも見えた。
yoshiは急ぎ足になり、玄関のドアに手をかける。
鍵が開いていて、見慣れた靴があった。
「ナオ、おかえり!」
嬉しそうな声で、キッチンにいる男性に声をかけた。
「ただいまyoshi…って、逆だろ?」
料理の手を止め男性は振り返るとyoshiに笑いかける。
「ナオ、今日、遅いかもって思ってた」
「yoshiが心配で早く帰ってきた」
ナオと呼ばれた男性は冗談っぽく笑う。
「何それ?嬉しいけどさ、あっ、手伝うよ」
yoshiは照れたように笑う。
「じゃあ食器出して」
「うん」
yoshiがテキパキと手伝いをしてくれたおかげか、すぐに夕食にありつけた。
たわいもない会話の中でyoshiは、
「今日、変なオッサンに会った」
と光一の話を始めた。
もちろん買われた話はしなかった。もちろん誤解だし、それに深く追求されると困るから。
「またスカウトされたのか?もう何回目だっけ?」
「さあ?」
「歌うのが好きなら歌手になれば良いのに。yoshiは可愛いし歌も上手いから絶対に人気出ると思うけどなあ」
「やだ!」
yoshiは即答すると、
「忙しいだろうし、ナオと会えない時間が増えるのはやだ!」
と付け加えた。
「僕とずっと一緒に居るよりも、外で友達作ったりした方が良いだろ?」
「ガキ扱いしないでよね、友達なんていらないし、ナオと居る方が楽しい」
yoshiはナオに微笑みかける。
可愛い笑顔。
小さい頃から変わらない可愛い笑顔。
ナオはそうか、と笑う。
***********
「ヤッホ~こうちゃん」
ホテルの駐車場に停められた車の窓からマコトが顔を出す。
「マコト…サクまで、何してんだお前ら」
マコトは助手席に、運転席には30代前半の男性。 彼は佐久間という。短くサクと光一達に呼ばれている。
「だって、嘉樹くんに会いに行くんでしょ?僕も会いたいし」
「はい?」
マコトの言葉に光一は思わず豊川を見た。
「サクが居場所見つけたんだ。今から会いに行こう」
「は?」
光一は理解するのに数秒もかかってしまった。
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