11 / 275

子猫

家が見えてくると同時に灯りがついているのも見えた。  yoshiは急ぎ足になり、玄関のドアに手をかける。 鍵が開いていて、見慣れた靴があった。  「ナオ、おかえり!」  嬉しそうな声で、キッチンにいる男性に声をかけた。  「ただいまyoshi…って、逆だろ?」  料理の手を止め男性は振り返るとyoshiに笑いかける。  「ナオ、今日、遅いかもって思ってた」  「yoshiが心配で早く帰ってきた」  ナオと呼ばれた男性は冗談っぽく笑う。  「何それ?嬉しいけどさ、あっ、手伝うよ」  yoshiは照れたように笑う。  「じゃあ食器出して」  「うん」  yoshiがテキパキと手伝いをしてくれたおかげか、すぐに夕食にありつけた。  たわいもない会話の中でyoshiは、  「今日、変なオッサンに会った」  と光一の話を始めた。  もちろん買われた話はしなかった。もちろん誤解だし、それに深く追求されると困るから。  「またスカウトされたのか?もう何回目だっけ?」  「さあ?」  「歌うのが好きなら歌手になれば良いのに。yoshiは可愛いし歌も上手いから絶対に人気出ると思うけどなあ」  「やだ!」  yoshiは即答すると、  「忙しいだろうし、ナオと会えない時間が増えるのはやだ!」  と付け加えた。  「僕とずっと一緒に居るよりも、外で友達作ったりした方が良いだろ?」 「ガキ扱いしないでよね、友達なんていらないし、ナオと居る方が楽しい」 yoshiはナオに微笑みかける。  可愛い笑顔。  小さい頃から変わらない可愛い笑顔。  ナオはそうか、と笑う。  *********** 「ヤッホ~こうちゃん」 ホテルの駐車場に停められた車の窓からマコトが顔を出す。  「マコト…サクまで、何してんだお前ら」  マコトは助手席に、運転席には30代前半の男性。 彼は佐久間という。短くサクと光一達に呼ばれている。  「だって、嘉樹くんに会いに行くんでしょ?僕も会いたいし」  「はい?」  マコトの言葉に光一は思わず豊川を見た。  「サクが居場所見つけたんだ。今から会いに行こう」  「は?」  光一は理解するのに数秒もかかってしまった。

ともだちにシェアしよう!