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子猫 2話
豊川と光一が車に乗り込むとサクはエンジンをかけ、車を走らせる。
「会いに行くって…」
どうして急に?
後部座席、隣に座る豊川をチラリと見る。
「どうして?お前、父親だろ?週刊誌の内容が本当なら、困っているはずだ。それにマスコミに追いかけ回されてたら可哀想だろ?」
豊川に睨まれる。
そんな事、俺だって分かっている!なんて強気で言えない光一。
さっきまで忘れていたから。
「コウちゃん本当冷たいよね。アキくんが言うのも仕方ないよね。あ、アキくんにちゃんと謝りなよ」
マコトに注意され光一は「やだね」とそっぽを向く。
「子供?こうちゃん今から嘉樹くんに会うんだよ、子供みたいな態度取らないでよ」
助手席のマコトは振り返り、光一を睨みつける。
嘉樹(よしき)の名前を連呼され、光一はyoshiを思い出し、またムカついた。
「あ~もう!くそガキ思い出した!」
大声で叫ぶ光一にマコトは目を丸くして驚く。
「どうしたの?」
それで、豊川が説明をする。
豊川の説明で一番に笑い出したのはサク。
「コウちゃん信じられない!嘉樹くんの事心配もしないでスカウトに熱中してたの?」
そして、マコトは怒っている。
「ウルサいなあ。良い声だったんだよ」
「光一さんを言い負かすなんて会ってみたいな」
サクはまだ笑っている。
「言い負かすって何だよ。俺が負けるわけ」
「負けてただろ?」
豊川に冷たく言われ光一はふてくされる。
車は随分と走り、ビル街を抜けて住宅地へと進んで行く。
そして、一軒家の前で車は停る。
一軒家?
光一が想像していたのは安そうなアパート。
なのにサクが車を停めた場所には一軒家。
金に苦労してるんじゃ?
戸惑いながらに車を降り、全員でその家へ向かう。
少し戸惑っている光一をよそに豊川が呼び鈴を鳴らすした。
「わあー待て!心の準備が!」
光一は慌てふためく。
呼び鈴を押して数秒。
「はい?」
とドアが少し開いた。
ドアチェーンをかけたままに開けられたドアの隙間から光一達を覗く人影。
中の人物とお互いに目が合った瞬間、
「あっ、」
と同時に短い声を上げた。
「アンタら何で?」
目を見開いて驚いているのは紛れもなくyoshi。
「まじ?」
光一は目を疑った。
くそガキがどうして?
豊川も少し驚いていたようだが、
「嘉樹くん?」
と聞いた。
「そうだけど?何で名前まで知ってんだよ、アンタらストーカー?」
yoshiが言ったストーカーに光一はピクリと反応をして、
「誰がストーカーだコラ!ドア開けろ!」
と過剰に反応する。
「やだね!警察呼ぶぞオッサン!」
「オッサン言うな!」
「あー、もう!光一、お前は黙ってろ」
豊川が2人の間に入った。
「君に用事があるんだ、ドア開けてくれる?」
「いやだ!俺は用事ないから」
優しく頼み込む豊川を無視してドアを閉めようとするyoshiの背後で、
「yoshi、ドアを開けて」
とナオの声。
「こいつらストーカーだよ」
「違うよ。ストーカーじゃない、この時間に来ると事前に電話があった」
「は?ナオ、こいつらと知り合いなの?こいつらだよ、ウルサいスカウトマン」
yoshiは怪訝そうな顔で外とナオを交互に見る。
「スカウトマンだとは知らなかったけど、ちゃんと僕と電話で会う約束したんだ。僕のお客さんだ、ほら、そこどいて」
ナオはyoshiをドアから離させると一旦、ドアを閉めてチェーンを外した。
再度ドアを開けると、
「どうぞ」
と中へ招き入れた。
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ムスッとしているyoshiに、
「人数分、お茶用意するから手伝いなさい」
とナオは指示をする。
嫌々ながらも手伝うyoshi。
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