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子猫 3話
そんなyoshiの後ろ姿を見つめ、光一は動揺していた。
まさか、あのガキが息子だったなんて。
4歳までの彼の姿しか思い出せない。
当たり前だけど。
面影… 目が美嘉に似てる?
今更ながらマジマジと見てみると、なんとなく面影があるような。
「コウちゃん、嘉樹くんがさっき言ってた生意気な子?」
光一の横に座るマコトが小声で聞いてくる。
まなあ、と頷く光一に、
「酷い!息子だって気付かすにスカウトしたの?最低だね」
とマコトは怒る。
「うるせえ!仕方ないだろ!4歳までしか知らないんだから、向こうだって俺を知らないみたいだし」
「光一静かに」
大きな声を出す光一に豊川は一喝する。
「しかし、綺麗な子ですね。さすが美嘉さんの子供」
サクがyoshiをチラチラ見ながら言う。
「俺の血も入ってんだけど?」
元妻の名前しか言わないサクに光一は露骨に拗ねる。
「でも、あの男の人って誰?嘉樹くん身よりないから施設にいたんだよね?」
マコトは豊川を見る。
「居所捜してたら彼に行き当たったんだよね。名前は藤城直…そこまでしか分からなかった」
サクの説明に3人は様子を伺うようにナオをジロジロと見つめる。
「ねー、あいつら、ジロジロ見てみてるんだけど?」
視線が気になるのかyoshiは小声でナオに伝える。
「yoshiが可愛いからだろ?」
笑顔でそう返すのでyoshiは苦笑いをする。
台所に立つyoshiをずっと見ていたマコトは思い立ったようにソファーから立ち上がると台所へと向かった。
「僕も手伝うよ」
そう言ってyoshiに笑いかける。
人懐っこいマコトの笑顔にyoshiもつい、「ありがとう」と笑顔で答える。
「笑った顔、全然変わらないね。嘉樹くん…僕の事覚えてないよね?公園とかで良く遊んだんだけどなあ」
マコトは懐かしむように微笑む。
でも、yoshiの反応は薄い。
「小さかったもんね。僕の事、マコちゃんとかまこっちゃんって呼んで懐いてくれてたんだけど」
残念そうなマコトの顔を見つめ、yoshiは考え込む仕草をみせ、
そして、
「マコちゃん?」
と言葉にした。
「うん、まこちゃん」
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