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子猫 5話
「お前、力入れすぎなんだよ。見ろ、赤くなってる」
豊川に注意された光一は、赤くなったyoshiの手首を見て、ちょっと…悪かったかな?とは思った。
「ごめんね、コイツ馬鹿力だからさ、冷やさなくて大丈夫かな?」
そう、言いながらyoshiに優しく笑いかける豊川。
優しく笑う彼に少しドキッとした。初めて会った時も一瞬、見惚れた。男の人なのに色気があって、身のこなしも穏やかそうで、何より笑顔に嘘がなかった。
あの時は素っ気ない態度を取ったけれど、もし……声をかけてきたのが彼の方だったら、話に乗っただろうか?
色んな人達に声をかけられて、胡散臭いって誰にでも感じてたのに、彼にはそれが無かったのだ。
yoshiは自分の中の感情を読まれないように、わざと目をそらした。
「別に…」
そして、ぶっきらぼうに答えるyoshiは手首がダルいのか、まだ痛いのかブラブラと動かしている。
「こっちこそ、すみません。生意気な口聞いて、僕が甘やかしてしまったみたいで。ほら、手見せて」
やりとりを見ていたナオは豊川と光一に軽く頭を下げると、yoshiの手首を見ている。
「ちょっと熱持っちゃったな、冷やしてあげる。」
水がある場所に連れて行こうとするナオに、マコトが、
「あの、僕がやります。うちのコウちゃんの方がかなり失礼だし」
光一を睨みつけながら言う。
ちくしょー、マコトまで!と悔しがりはするが、彼の手首を見たら、光一も強くは言えない。
「ありがとうございます。でも、お客様だし、座っていて下さい。」
ナオにそう言われてもマコトは引き下がらず、結局は2人がかりで手当てするはめに。
光一はナオが言った言葉が引っかかっていた。
僕が甘やかしたから。
あの言い方だと、ずっと一緒に暮らしていたみたいじゃないか?
彼をスカウトした時の事を思い出す。
yoshiはからかい半分だったが、誘う態度は慣れているように思えた。
自然に光一の首筋に腕を回してきたし……
まさか?
不安が過ぎる。
豊川もナオが気になるようで、ずっとyoshiと直を見ている。
凄く仲が良さそうな彼ら。
年齢はどれくらいだろう?
優しそうな雰囲気で落ち着いている。
でも、若く見える…どうみても20代後半くらい。
手首を冷やしながらyoshiとナオ、マコトが戻って来た。
テーブルの席には余裕がない為、yoshiとマコトは少し離れたソファーに座る。
ナオがテーブルに戻るや否や、
「唐突ですが、アナタは彼の?」
豊川が光一よりも先に質問した。
「恋人だよ」
そう答えたのはyoshi。
豊川と光一はナオをつい、ジッと見てしまった。
「違います!yoshi、ふざけたらダメだろ!」
すぐに否定され光一と豊川は少し安心した。
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