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優しい腕 2話

「元気になったのなら良いよ…でも、こっちは理性と戦い疲れたよ」 冗談混じりに言う豊川。 「理性?あっ、一緒に寝てたもんね」  yoshiが朝目覚めた時に豊川の腕の中に居て、一瞬驚きはしたが、夕べの事を思い出した。 「あれ、やられたんなら…理性も飛ぶな」 それは光一の事を指す。 「豊川さんなら襲われてもいいよ、金は取らない」  食べ終えた食器を重ねながら言うyoshiを驚いた顔で豊川は見る。  「あの時言った事は冗談じゃ?」  うん、冗談だよって言って欲しかったのにyoshiは期待を裏切るように、 「冗談じゃないけど?」 顔色も変えずに答えた。 「身体売ってるのか?」 「今更また同じ事で説教する気かよ」  うんざりした顔でyoshiはキッチンへ食器を運ぶ。 「そんな事やってるってナオは知ってるのか?」 yoshiはピクッと小刻みに反応した。  「言えるわけないじゃん」 小さく言葉にした。  ナオには言えない。  「言えないのは悪い事をしてると分かっているからだろう?だったら、もう止めなさい」  「うるさいな!説教すんな!」 本当の事だからyoshiは怒ったようだ。 「金が要るんなら」 「豊川さんがくれんの?」  豊川の言葉にかぶせるよたうにyoshiは叫んだ。 「豊川さんが俺が毎回稼ぐ金より高く出せるんなら止めてもいいよ」 後ろ向きで話していたyoshiは、正面を向いて豊川を見つめている。  「何人…相手してるんだ?」  「そんなに居ないよ。常連が5人くらい、でも一人払う額は高いよ」 「いくらだ?」 「一人、20万はくれる」 「じゃあ、私一人で200万払う」 「は?」 yoshiは目を見開いて驚いている。  正直、ふっかけただけ。 倍の金額を言われyoshiは目を丸くしている。  「一ヶ月200万は少ないか?」  yoshiは首を振る。  「じゃあ、交渉成立だな。今すぐ、常連とは手を切れ」 豊川の言葉にただ、呆然と立ち尽くすyoshiに近づくと、  「ふっかけて来たんだからテクニックはちゃんと持ってるんだろうな?」 と身体を引き寄せた。 「テクニック?」 腰に回る豊川の手を気にしながらyoshiは聞き返す。  「そう、テクニック。とりあえず、シャワー浴びて着替えて来い」 バスルームに手を引っ張られ連れて行かれた。  一緒に入る気かと思ったがタオルをyoshiに渡すとさっさとバスルームから出た。  脱ぎながら、あっ、着替えないじゃん…と思いながらもシャワーを浴びた。  テクニック…  あの人ガタイいいから、下もデカそうだよな。って考えていた。  でも、彼の常連は外国人ばかり。  アソコは日本人よりはデカイのを知っている。 満足させなきゃダメなんだろうけど、本気で200万払う気だろうか?  シャワーを終え、ドアを開けると服が置いてあった。  豊川さんの?  と広げて見ると真新しく、しかも若い子が着るデザインだ。  ええ?意外と若い服着るんだなあ。なんて思いながら服を着た。 豊川が待つリビングへ恐る恐る行くと、  「服、ピッタリだったな」 待ち構えたように豊川が待って居た。  裸で待ってるのかと思いきや、スーツ姿。  スーツでやるのが趣味なのかな? なんて考えていると、  「出かけるぞ」  と頭を軽く叩かれた。  「ここでヤルんじゃないの?」 「オフィスだ。オフィスでヤル」 オフィス?  何プレイする気だよ…。 ちょっと戸惑うyoshiの手を掴むと豊川は、  「激しいから覚悟しとけ」 と耳元で囁く。  マジかよ!  何させる気だよー!  余計に怖くなった。  ◆◆◆◆◆◆ 「…テクニックってコレ?」  連れて行かれたオフィス。  そこは豊川の事務所。  そこの社長室に押し込まれパソコンの前に座らせられた。 「パソコンくらい出来るだろ?今時の子なんだから」 豊川は椅子に座りニヤニヤしている。  「出来るよ!出来るけど、何プレイだよコレは!」 訳が分からず苛々する。 「秘書プレイ。事務プレイでも良いぞ。」 「秘書?事務?俺に雑用させる気か?」 「200万も払うんだ、もっとやって貰う」 「騙したな」 ムスッとしてyoshiは文句を言う。  「身体売るより健全だろ?」 「気持ち良い方がいいに決まってる」 「あっそ、だったら身体売ってた事、ナオにチクる」

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