38 / 275

ワガママ

謝るタイミングがこんなにも難しいとは思わなかった。 まあ、自分が気にしなかったり相手が謝ってきたり、そんなんばっかりだったもんだからかも?  yoshiには無視されっぱなし。 「あー、もう!」 思わず口に出してしまい、周りの視線を集め、光一は咳ばらいをする。  「新崎さん」 名前を呼ばれ振り向くと拓海が立っていた。 あれ?撮影ってこっちだっけ?なんて考えながら手を上げて軽く挨拶をする。 「何してんだ?」 「今日は雑誌撮影」  へえ~と返事を返しながら、ふと、ナオと一緒に居た事が気になった。  「ナオと仲良しなのか?」 「仲良し…ですね。とても」 とても。に意味を込めて拓海は答える。 「でも、yoshiとは仲良くないよな?」 なんせ、虐めていた。  「すみません、可愛いから虐めてしまったんですよ…嘉樹って豊川さんとこの新人じゃなかったんですね」  「うん、まあ…今朝からはスタッフになってるけどね」  「スタッフ?スカウトじゃなく?」  拓海は意外そうに聞き返す。 正直、同じ世界に彼が来るのかと思っていた。  拓海から見てもyoshiは良い逸材に見える。  「スカウトは既に断られてるよ」  「諦めてスタッフに?」 「いや、諦めてないからスタッフにしたんだよ…」  そう、諦めない!絶対に!  光一は強く思う。  「へえ~この世界に入ったら、また虐めちゃおうかな」 拓海はニヤニヤする。  「それは止めろ!ナオにも叱られるんじゃないか?」 叱られるどころか、お仕置きされた…なんて口にしたい衝動にかられる拓海。 「俺、正直あいつ嫌いですもん」 キッパリと言う拓海に光一はア然とする。  「何で?」 「可愛すぎるから、あんなに可愛かったら虐めたくなるでしょ?好きな女の子を虐めるみたいに」 そう言ってニヤリと笑う拓海。  「お前、どSか?」 正直に思った気持ちを口にすると拓海は笑い出した。  「新崎さん面白い!でも俺、Mですよ。エッチの時はだけど」 「はあ?」 M?  じゃあリナに色々させてんのか?なんて妄想した。

ともだちにシェアしよう!