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ワガママ 4話

ニコッと笑う豊川が怖い。 怒る状況なのに笑う奴程怖いものはない。 「すみません」 上着を返し、素直に謝った。 怒鳴られるのを覚悟する。  仕事中に寝てしまったんだから。 豊川は無言で立ち上がり上着を着る。 「あの…」  無言が更に怖い。 豊川はyoshiの腕を引っ張り上げると立たせた。 「行くぞ」 そう言って歩き出す豊川に不安になる。 どうして良いか分からず立っている場所から動けない。 ドアの前でyoshiがその場から動いていない事に気付き振り向いた。 ドキンッとくる。 なんて表現して良いか分からない。  豊川の方を見て不安そうなyoshi。  昨日とは違う感じの泣きそうな顔。 あっ、迷子の子猫。  そんな表現が良く似合う。 今にも泣き出すんじゃないかってくらいに潤んだ瞳。 大きな瞳はかなり水分を含んでいるようだ。 ヤバイよなあ。 こんな顔されたら… 気が付けばyoshiの元へ戻り手をギュッと握っていた。  「本当、よく泣く子だね君は」 そう言うとyoshiは顔を真っ赤にして、 「なに、何言ってんだよ!馬鹿じゃない?」 と精一杯の悪態をつく。 そんな意地も可愛い。  「いいよ。私の前だけでは泣いて良いし、甘えてもいい」  豊川がそう言って微笑むと、yoshiは更に顔を赤くした。  耳まで赤い。  思わず俯いたyoshiの顔にもう片方の手の平を当てる。  熱を帯びた頬。  赤くなった耳元に唇を押し当てた。  yoshiはビクンッと身体を反応させる。  耳を舌で舐めると、彼の口から甘い息が漏れる。 当てた手の平で自分の方へyoshiの顔を向けると、頬にキスを落とす。  「…っ、あっ…」  吐く息も艶っぽい。  彼の唇を親指でなぞる。 プクンと柔らかい唇は女の子のモノのようだ。  yoshiが目を恥ずかしいのか、これから起こる行為を予想するように目を閉じる。 長い睫毛。  まぶたにキスを落とし、頬、耳たぶの順番に彼を味わった。  yoshiの息が荒い。  興奮しているのか?  通常は男女が行う行為をされて嫌ではない?  慣れたような態度が身体を売っていたのが嘘ではないとわかる。 いつからやっているのだろう?  まだ二十歳の彼はいったいどんなヤツ初めてを体験したのだろうか?  こんなにも綺麗で可愛いyoshiの身体を自由に出来た顔も知らないヤツらが恨めしく思う。  手を切らせて正解だ。  もう…誰にも触れさせたくない。  彼のわがままも、弱さも…全部、自分が受け止める。  そう心で誓ったらyoshiが無性に欲しくなった。 頬にキスをしてから、彼の唇に自分の唇を押し当てた。 柔らかい唇。  すぐに舌をyoshiの口内へ侵入させる。  くちゅっ、くちゅ、と絡む音がyoshiとディープキスをしているのだと豊川に教えている。  「あっ…んっ…ふっ」 yoshiが漏らす甘い声に歯止めが効かなくなる。 そのままソファーに彼を押し倒し、馬乗りになったままに激しいキスを落とす。  何度も何度も角度を変えてキスをする。 ******* 不安になった瞬間にいつも豊川の優しい手がyoshiを包む。  怒られるのを覚悟したのに、動かない自分の手をギュッと握り、「本当、よく泣く子だな」と言われた。 優しい微笑み。  豊川の目は心から笑ってくれている優しい目。  照れてしまった。  甘えて良いと言ってくれた豊川の顔がまともに見れない。  頬に当てられた手。  凄く温かい。  瞬間、耳たぶに彼の唇が押し当てられた。  ドキンッと心臓が早く動き出す。  やがてされるだろう行為を待つように目を閉じた。  優しいキスの雨。  その後の激しい口づけ。 舌が侵入した瞬間にタバコの味がした。  大人の味ってやつ?  タバコの味がするキスは初めてだった。  こんなに感じるキスも初めてだ。 やがてソファーに押し倒され、彼の体重を感じながら豊川からされる行為に身を委ねた。  首すじに這う舌の感触。 優しくなぞったかと思えば激しく舌がyoshiの肌を舐めていく。  貰った服を一枚脱がされ、下に着ていたシャツも上へめくられた。  プクリと立つ突起物を豊川が口に含んだ。  「やあ…っんっ…」 ビクンビクンと身体を微かにうねらせて甘い声を出す。

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