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思い 5話
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「あれ?嘉くんも一緒なの?」
次の仕事場に行くとマコトが居た。
「嘉樹もウチのスタッフだからな」
「俺はヤダって言ったんだけどね」
光一の説明にかぶせるようにyoshiは言う。
「僕は嬉しいなあ。嘉くんと一緒に居られるし、事務所にはあまり行かなから話せないでしょ?」
マコトが本当に嬉しそうな顔を見せるのでyoshiも、悪い気はしない。
「俺もまこちゃんと沢山話したい」
ニコッと笑うyoshiを見た光一は、
「マコト、今から俺と豊川は取材があるんだ。嘉樹を頼む」
とyoshiを残し、行ってしまった。
「何のつもりだ?取材はお前だけだろ?」
光一に無理やり連れて行かれる羽目になった豊川は怪訝そうな顔をしている。
「嘉樹がマコトと話してたら昔を思い出すかも知れないだろ?」
「思い出して欲しいのか?」
「そりゃあ…」
「良い父親じゃなかっただろ?それでもか?」
「厳しいな豊川」
確かに良い父親では無かった。
でも…思い出して欲しい。
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「マコちゃん、今はドラムやってないの?」
「たまにやってるよ」
ビル内の喫茶店でマコトとyoshiはコーヒーを飲みながら話している。
「嘉樹くんはピアノ弾いてる?」
「ピアノ?」
yoshiは一瞬考えて、
「あっ、そっかピアノ教えてくれたのマコちゃんだよね。うん、弾けるよ」
と答えた。
アメリカに住んでいた時、ピアノをよく弾いていた。
そうか、彼に教えて貰ったんだっけ?
と、思い出した。
「コウちゃんと…あっ、嘉くんどこまで覚えてる?」
マコトは光一にもピアノを教えて貰っていた思い出も話そうとして、yoshiに記憶が無い事を思い出し、会話を変えた。
「どこまでって?」
yoshiはキョトンとする。
「日本に居た時の…」
この会話はして良いのかと、マコトは恐る恐る聞く。
「マコちゃんと…それと」
「それと?」
マコトが聞き返すと、yoshiは誰かを見つけたように遠くを見て軽く会釈した。
マコトの後ろを見ているようで振り向くとリナが居た。
「ちょっと話して来るね」
yoshiは立ち上がるとリナの方へ歩いて行く。
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「この前はありがとう」
yoshiはリナに微笑む。
「ううん、大丈夫だった?」
リナも微笑み返す。
「大丈夫。変な所見せちゃったから恥ずかしいんだけど」
「あれは拓海が悪い!えっと…よし…君だっけ?」
「そう。嘉樹…あ、時間は大丈夫?まだ仕事中?」
yoshiは心配そうに腕時計で時間を確認した。
「大丈夫。あと1時間暇なの」
「1人で?」
マネージャーや付き人は居ないのかとyoshiは周りを見た。
「うん、たまにはね。嘉樹くんは?」
「マコちゃんと一緒」
「マコトさん?」
リナが聞き返すとyoshiはマコトが居るテーブルを指差す。
「マコちゃんも一緒にあと1時間一緒に良い?あっ、1人が良いかな?」
ちょっと図々しいかな?とyoshiは遠慮がちに言うけれど、
「もちろん!」
とリナは笑顔で返事をしてくれた。
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「ねえ、HIROTOの代わりにリハやってた子って誰か分かった?」
優は移動中の車内、運転をするマネージャーに話掛ける。
「豊川社長の所のスタッフみたいよ」
「スタッフ?新人とかじゃないの?」
助手席の優は驚くようにマネージャーを見た。
「あの後、ディレクターに聞いたら、そう言ってたわよ。私も新人かと思ってたから驚いたわ。勿体無いわね、あんなに歌が上手くて綺麗なのに」
「名前は?」
「嘉樹とか呼ばれてたわよ」
嘉樹…。
いくつなのかな?
自分より上かな?
もしかして同じ歳?
優はyoshiが気になり、マネージャーに彼についての情報を仕入れるようにお願いしていたのだ。
「拓海とはどうなの?」
不意に話題を変えられ優はビクンと体を震わせる。
マネージャーの理恵子は優にとっては姉のようで何でも話していた。
だから拓海の話も知っているのだ。
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