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思い 7話
「大丈夫か?」
と豊川の声と共に彼の手がyoshiの頭に置かれた。
本人登場でyoshiは余計に身体が熱くなるのを感じる。
「タケル…さん」
小さく呟く。
なんで、なんで……彼はここに?
心配で戻って来てくれたのかな?なんて考えると嬉しくなるし、彼の事を考えていた時にタイミング良く現れるとか……ドラマか映画みたいだな、なんて思ってしまう。
顔を上げて豊川を見ようとするが意識して的もに見れない。
「具合悪いのか?マコトが心配していた」
豊川は心配して来てくれたのだと嬉しくなる。
「ん…大丈夫」
顔を上げずに答えるyoshiの頬に手があてられ、驚いて顔を上げた。
「熱い……、大丈夫じゃなさそうだな。もう事務所に戻ろう。」
手から伝わる熱。
いつもより大人しいyoshiの態度で豊川はそう判断した。
yoshiは確かにココに居るより豊川と二人、事務所に戻りたいと思ってしまった。
コクンとyoshiが頷くと豊川は彼の背中に手を添えて歩き出す。
背中にある豊川の手を意識してしまいそうになる。
先に車に乗せられ、豊川はマコトに電話をかけ、光一に先に帰ると言って欲しいと伝えている。
ヤバイよなあ…。
タイミング良く現れた豊川をかなり意識してしまって、自分を押さえきれなくなっていた。
豊川に触れて欲しいと思ってしまって、そればかり考えている。
俺、こんなに淫らだっけ?
「嘉樹」
名前を呼ばれ運転席を見た。
「具合が悪いのに連れ回して悪かった」
豊川はそう言うとyoshiの頭を撫でる。
そんなんじゃない…と、心で呟く。
心配そうに自分を見てくれて、優しい豊川。
ジッと見つめてしまう。
いや、見ていたいと思った。
「どうした?」
見つめたまま停止しているyoshiの顔に手で触れた。
触れられた手は大きくて優しい。
yoshiはその手に自分の手を重ね、豊川の指を自分の唇へと持っていく。
そして唇にあたる指を吸い付くように舌を絡ませて、しゃぶった。
潤んだ瞳で見つめてくるyoshiにドキンッとした。
そんな顔するな…。
手を出したくなる!
そんな思いでyoshiに触れると、もの欲しそうな淫らな感じで指を吸われた。
「嘉樹…そんな事したら、抱いて欲しいのかと勘違いするぞ」
小悪魔の誘い。
「ダメ?」
上目使いで誘う小悪魔。
ダメなわけがない。
大人の理性や常識やいろんなモノをぶっ飛ばす彼の色気に、きっと、誰も負けてしまうかも知れないな……
豊川はそう思った。
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