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小悪魔VSドS

事務所に着くと、昼休憩にでも行っているのか誰も居なかった。 社長室に入ると、豊川は念のため鍵をかけた。 yoshiをソファーに座らせる。 「具合は?」 と聞いてyoshiの額に手をあてる。 「ん、大丈夫」 「ちょっと熱かったから心配してたんだけど」 本気で心配をした。 そんな豊川にyoshiはいきなり首に手を回してキスしてきた。 押し付けられた唇が熱い。 誘われるように豊川はソファーにyoshiを押し倒す。 豊川もyoshiをキツク抱いて彼の口内へ舌を挿入させ、絡めていく。 しばらくは無我夢中という言葉がピッタリに、互いのキスを味わった。  唇を離すと、yoshiが惜しそうに、  「もっと…」 と首に回した手に力が入る。 「まだ昼だぞ」 冗談混じりに豊川がいうと、 「だって、足りないもん」  yoshiは甘えるような表情でそう言う。  「何が足りない?」 「タケルさんが足りない…ずっと考えてたんだ。マコちゃんがタケルさんをドSとか云うから…エロい時のタケルさん、Sじゃん?それを思い出したらたまらなく、タケルさんに触られたくなった」 「は?何でそんな話しになった?」 yoshiの上に乗ったまま、豊川はキョトンとなる。 「ほら、さっき怒ってただろ?あれ、結構怖かった…、マコちゃんに話したらタケルさんは厳しいって」 「だからドSか。マコトめ!」  理由が判り豊川はマコトを恨む。  「もう手を引くの?あのアイドルから」 「この世界に元々向いて無かったんだよ彼は。謝り方も礼儀もなってない。まさに今どきの子だな」 「今どきの子?」 yoshiはキョトンとする。  「甘えてるって意味」 「だったら俺もそうかな?タケルさんやナオに甘えてる」 「いや、嘉樹は違う。ちゃんと拓海の時は意見を言えた、偉かったね」 そう言って豊川はyoshiの頭を撫でた。  やっぱ、撫でられるの気持ち良い。  「タケルさん、…今夜じゃなきゃダメ?」 yoshiは豊川を潤んだ瞳で見つめる。  豊川はyoshiを抱き上げるとソファーではなく机に座らせた。 何故に机?  yoshiはまたキョトンとなる。 「安っぽい昼ドラでのオフィスラブって机でプレイしてるだろ?」 豊川は悪戯っ子みたいに笑う。 「なんだよソレ?どんなドラマ見てたんだよ」 yoshiもつい笑う。 「ここで気持ち良くなりたいか、奥にある仮眠用のベッドでしたいか、選んで良いぞ」 二択にyoshiは、 「オフィスラブしたい」 と机を選んだ。 yoshiが答えるとすぐに豊川は彼の首筋に吸い付いた。  「ん…、」 yoshiは舐めやすいように顔を上げる。  豊川は舌先で首筋から、彼の喉仏を舐めていく。 上着を豊川の手で脱がされ、シャツを上にめくられ、露出した肌にキスを落としていく。  「たけ…る。…んっ、きもちいい…」 後ろに手をついてyoshiは身体を反らせる。 豊川の手が下へと伸びてジーンズの上からソコを触る。 すでに硬くなっていて、この前よりは怖さも緊張もないんだと豊川は感じた。 「嘉樹、いつからこんなになってたんだ?」 意地悪で聞いてみた。  「ん、マコちゃんと話してた時にタケルさんに触れてたのを思い出して」 相変わらず素直に答えるyoshiに笑ってしまう。  だからトイレ? 「トイレで抜くつもりだった?」 その問い掛けにはさすがのyoshiも黙ってしまった。 「私で抜くつもりだったか答えないなら、ここでお預けだな」 豊川はそう言うとyoshiから離れた。  「えっ、ちょっと…」 中途半端で終わる行為。 yoshiは悩んだ末に、  「うん」  と答えて頷いた。  「嘉樹は淫らだな…そこも好きだけどね」 豊川はそう言って恥ずかしそうな顔をしているyoshiに笑いかける。  好き。  その言葉をもう一度聞きたい。 yoshiは、  「俺もタケルさんが好き。初めてなんだ、エッチしても良いなって思った男の人」 素直な気持ちを口にした。  「それは誘ってるのか?」  正直、豊川は最後までする気は無かった。  セックスなしでもフェラや愛撫でイカせてやれる。  最後までした事ないなら怖いだろうと思ったから。

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