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思い出したくない事 7話
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光一が家に着くと、部屋の中が賑わっていた。
仕事場から直接来たマコト。
サクにアキも律儀に来ていた。
他にも顔見知りのスタッフが来ており、子供の誕生日なのに同世代の子供が居ない。
誰の為の誕生日だろう?
疑問にさえ思う。
「コウちゃん」
マコトが気付いて声を掛ける。
「お父さん」
智也が走って来た。
「智也、ただいま。まだ寝ないのか?」
智也を抱き上げる。
「だって!ウルサいもん」
智也のいう通り、ざわつく中、眠れないだろう。
「確かにな」
時間は10時。
大人には普通の時間でも、子供にはもう真夜中に近い。
麻衣子を捜す。
そろそろお開きにしないか?と言いたい。
何故に子供を気にしないのだろうか?
俺が言えた事じゃないけれど…。
智也を抱えたまま、拓也の部屋に行く。
「拓也」
ドアをノックする。
「なに?」
声で光一と分かっているので面倒くさそうにドアを開けた。
「誕生日おめでとう」
その言葉に拓也はお礼も何も言わず無反応。
「用はそれだけなら」
と閉めようとするドアを阻止すると、
「麻衣子は?」
と聞く。
「さあ?」
興味なさそうな返事。
「拓也はあのドンチャン騒ぎに参加しないだろ?」
「するわけないじゃん」
「じゃあ、追い返すよ」
そう言って拓也に背を向けた。
「あ、佐久間さんとマコちゃんにプレゼントありがとうって言っておいて」
「言ってないのか?」
「言ったよ。一番まともなプレゼントくれたの二人だけだったし」
「あの二人はセンス良いからな」
「で、…アキはココこねーほうが良いってアキに言っておいたほうが良いかもね」
「何かやらかしたか?」
「あんたの奥さんの次のターゲットがアキだから。かわいそうじゃん?あんな淫乱ババアの手に落ちるの」
拓也はそう言ってドアを閉めた。
正直驚いた。子供の口からそんな事が出るくらいにあからさまなのか?いや、その前に子供が見ているのにそういう態度を取る事に驚いたのだ。
眠ってしまった智也を部屋へと連れて行き、ベッドへ寝かせていると、ふと古い記憶が甦る。
嘉樹を久しぶりに抱き締めたからかも知れない。
抱き締めた彼はもう大人なんだと実感した。
並んで歩くと背丈があまり変わらない。
辛うじて自分が高い。
小さくて腕にすっぽりと入り、良く泣いていた。
嘉樹を抱っこしたり、遊んだりは数えるほどしかない。
本当に今更だけど、どうして…もっと、
本当にごめん。
嘉樹の代わりに智也の頭を撫で部屋を出た。
部屋を出るとドンチャン騒ぎをお開きにさせた。
豊川の事務所の関係者は光一に挨拶をして帰るが、麻衣子の友人、知人と見られる者達は何も言わず帰って行く。これが大人の態度なのか?どうしてこういう奴らを家に招き入れるのか、理解出来ない。
人の部屋でドンチャン騒ぎをして何も言わずに帰るなんて…あいつらは出入り禁止だ!と腹を立てながら片付けを始める。
「コウちゃん僕達も手伝うよ」
とマコトとサク、アキが一緒に片付けを始めてくれる。
「マコト、サク、プレゼントありがとうな。拓也がマコトとサクのプレゼントをかなり喜んでたよ」
光一は二人に礼を言う。
「サクちゃんの服は拓也くんの友達の間でもかなり人気だからね」
マコトが言う。
「まじ?なんか嬉しいーっ」
嬉しそうなサク。
「拓也くんも似合ってたし、嘉くんにもまたあげるんでしょ?」
「あ、そうだ。嘉樹くんを専属にしたいんだけど社長の許可入りますよね?」
サクは思い出したように言い出す。
「一応、豊川の秘書だからな」
「ですよね?じゃあ社長に連絡入れます」
サクは電話を手にその場を離れた。
「光一さん、俺のプレゼントは気に入って貰えなかったんですかね?」
アキが心配そうに言う。
アキ、ターゲットだよ。
拓也の言葉が過ぎる。
拓也の言葉はショックだった。
麻衣子の事を知らないわけじゃない。
自分も浮気をしていたから、何も言わなかった。
でも、アキは…
嘉樹とあまり年が変わらない。
息子程、年が離れた男を…
「アキ、お前もうウチ来んな」
と忠告しか出来ない。
「は?俺なんかしました?えっ?なんで?」
アキはかなり動揺していた。
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