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ため息3話
◆◆◆◆◆◆◆
「こんな感じの服なんですけど」
佐久間は持ってきた服をハンガーにかけていくと、どの服もyoshiに似合いそうで豊川は早く着せたくなる。
「嘉樹君、撮影参加してくれますかね?」
心配そうな佐久間。
「着てくれるよ」
豊川はニヤッと笑う。
「わあ、サクちゃん新作カッコイイね」
「本当、カッコイイなあ」
マコトと、アキが事務所に顔を出した。
「アキくんもサクちゃんブランドたまに買うんだよね?」
マコトはアキに視線を向ける。
アキがうんっと頷くと、
「衣装を撮影所まで運んでくれたら、どれか1着やるよ」
「マジすか!」
アキは喜んで承諾した。
「撮影するの?モデルは?」
マコトに聞かれ、佐久間は社長室を指さす。
「yoshiくん?」
「そう、彼。撮影は昼からだから社長、ちゃんと嘉樹くん連れて来てくださいよね、ほら、行くぞアキ」
佐久間はアキの背中を叩き、撮影の為の準備を始める。
「yoshiくん、やってくれるんだ。良かったね」
ニコッと微笑むマコトに、
「まあ、今から言うんだけどね」
と笑う。
「えっ?」
「説得させるから社長室に誰も入れないようにしといてくれ」
豊川はそう言うと社長室へ入った。
◆◆◆◆
パソコンをうつyoshiに近づき、後ろから抱きしめる。
「あれ?もう、話終わったの?」
yoshiはキーボードを打つ手を止める。
「なあ、タケルって朝飯食べないの?」
「食べないな。」
「この前は食ったじゃん」
「嘉樹が作ってくれたからな」
「じゃ、食べようと思ったら食べるんだ?」
「そうだな」
豊川がそう答えると、
「タケル、口開けろ」
と命令され、少し開いた口にサンドイッチが押し込まれた。
「ちゃんと食べろよな!朝飯抜くと頭回らないらしいぞ」
可愛い説教。
無理矢理、押し込まれたサンドイッチを飲み込むと豊川。
サンドイッチは3種類あり、一つだけ食べて、yoshiは豊川を待っていたようで、
可愛い!なんて顔が緩む。
「あと一つあるから、嘉樹が食べなさい」
そう言っても、yoshiはサンドイッチを半分にして、豊川の口に入れる。
「半分こ」
なんて可愛く微笑まれたら、
「デザート欲しくなるな」
とyoshiの唇の端についているマヨネーズをペロリと舐めた。
「タケル、くすぐったい」
あははと笑うyoshiの身体を軽く抱き上げて、豊川はソファーへとyoshiを連れて行く。
「デザートって俺?」
ソファーに降ろされyoshiは豊川に腕を回す。
「甘いデザートだな」
豊川はyoshiにキスを落とす。
キスは次第に深くなる。
「たける…ここ、会社…誰か来るんじゃねーの?」
キスに反応しながらも、周りを気にするyoshi。
「しばらく誰も入るなと言ってる。それとも仮眠室がいいか?」
「今朝、したばっかじゃん!誰のせいで立てないと思ってんだよ」
yoshiは豊川のほっぺをギュッとつねる。
「嘉樹が悪い…可愛い過ぎるから」
豊川はyoshiの首筋を舐める。
「冬服で良かったよ」
「は?」
yoshiはきょとんとなる。
「サクの服のモデル、やるって言ったよな?」
「うん…言ったけど?」
「撮影は今日だ」
「はあ?」
yoshiは眉間にシワを寄せて、怒るような声質。
「やるって言ったよな?」
「2回も言うなよ!そりゃあ、やるって言ったよ。でも、今日って」
まあ、確かにいきなりだよな。
豊川はそれは悪いとは思う。
「着せたいって思ったんだ」
「何を?」
「サクが持って来た服はどれも嘉樹に似合いそうで、着せたいって思ったんだ」
ストレートに良く言ったよな。なんてyoshiは照れてしまった。
「絶対に似合うよ」
ほんわかとした笑顔。
あー、もう!
オジサンに見えない可愛い笑顔をまた見たいと思ってしまったyoshiは、
「分かったよ」
と承諾した。
「本当か?」
嬉しそうな豊川の顔。
本当……俺は弱いんだよ、その顔に!なんてyoshiは心で叫ぶ。
「それが、冬服なんだよ。」
「ああ、」
ようやく話が繋がったように思えたが、良かったの意味が分からない。
「冬服だからキスマークが隠れるし、露出はなるべく控えさせたいし」
ああ、そういう事ね。
確かにキスマークを沢山つけられた。
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