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ため息 4話
「夏服だったらヤバかったな」
yoshiはそう言うと豊川を引き寄せ、首筋に吸い付いた。
「夏なら断った…嘉樹の肌の露出は避けたい」
「なんで?」
yoshiは豊川のネクタイを緩めながら聞く。
「見せたくない。嘉樹の肌を誰にも見せたくない独占欲だよ」
yoshiを見つめる豊川。
そんな独占欲、嬉しい!
「俺はタケルのモノだよ」
yoshiはギュッと豊川に抱き付く。
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「おはようコウちゃん」
事務所に現れた光一にマコトが挨拶をする。
マコトしかいない室内。
「あれ?マコトだけ?」
「うん、アキとサクちゃんは撮影の準備を他のスタッフをしてるよ」
「撮影?」
「サクちゃんブランドの冬物のパンフの撮影」
「あれ?それってHIROTOの予定だったよな?豊川はもう関わらないって」
「嘉樹くん使うんだって」
「えっ?嘉樹、来てるのか?」
光一は少し驚いた。
撮影って事はyoshiは来てるって事だよな?
夕べ、豊川にもyoshiにも携帯は繋がらなかった。
「タケちゃんが今、社長室で嘉樹君に話してるよ」
「具合、大丈夫なのかよアイツ」
光一は社長室に向かうが、
「嘉樹君を説得中だから誰も入れるなって」
とマコトに止められる。
「具合大丈夫か聞くだけだよ」
光一はドアの前に立ち、ノックする。
…が、無反応。
あれ?
ドアノブを回すがカギがかかっており開かない。
何やってんだ?
光一はドアを激しく叩く。
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「んっ…ふう…」
yoshiは豊川の下で喘いでいた。
ソファーが揺れる。
「嘉樹…んっ、…」
豊川はyoshiの奥まで刺激しながら声を出す。
彼の脚をさらに広げて激しく揺さぶる。
「たける…あっ、あっ…気持ちいい…」
吐息を吐きながら絶頂を味あおうとした瞬間に、
激しく叩かれるドア。
「や、誰…」
yoshiはビクンと身体を震わせた。
「こら、豊川、何やってんだ?」
光一の声。
まるでアメリカの青春ドラマみたいな展開じゃないか?
娘のセックス現場に邪魔するように現れる父親。
yoshiは男だから、息子の違いが生じるけれど…。
「アイツ、マジで邪魔ばっか!」
豊川の下でyoshiが文句を言う。
もうちょっとで絶頂を迎えられたのに。
そんな顔をしている。
「ほっとけ、鍵は掛かっている」
豊川は中断せずに続けている。
「んっ、…たける、気にならないの?音と声で何してるか…わかるよ、きっと」
yoshiは気にしながらも、身体はしなやかに豊川の動きに合わせたように動いている。
「じゃあ、止めていいのか?スンドメな状態で、イキそうなんだろ?」
豊川はグッと足を持ち上げて深く強く彼の中へと侵入していく。
yoshiの頬が一気に紅潮して、深い息を吐いて声を押し殺す。
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「こら、豊川聞こえてんだろ?開けろよ、2人で何やってんだよ」
光一は相変わらずドアを叩き叫ぶ。
「2人でやってんのは愛の営みだよ…んっ」
豊川は奥へ奥へとyoshiの中へ入り込む。
ドアが叩かれる度にyoshiがビクビクと怖がるようにドアを見たりしているけれど、豊川は構わずに行為を続ける。
ドアの向こうにはyoshiの父親。
息子とこんな事をしているなんて、思ってもいないだろうな?
知ったらどうする?
激怒する?軽蔑する?
でも、初めてyoshiに会った時、彼を抱きそうだった光一。
抱いていたら修羅場だな。
「たける、」
yoshiが豊川の名前を呼び、艶やかに揺れる。
彼は自分のモノ。
たとえ父親だろうと、邪魔されたくないし、渡したくない。
yoshiの口を手で塞ぐと激しく動く。
豊川の手に熱いyoshiの息を激しく感じる。
足をさらに広げて、彼を抱き込むように覆い被さるとyoshiを激しく揺さぶった。
大きめのソファーがグラグラと揺れ、
2人の息づかいが部屋中に広がる。
やがて、迎える絶頂。
豊川の下でグッタリとして息を切れ切れに吐くyoshiの中に豊川も熱い精子をぶちまけた。
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「あ~もう!豊川の野郎!無視かよ!」
ドアの向こうにはイライラする光一。
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