93 / 275
愛情 3話
*******
ナオは洗濯をしながら携帯をチェックしている。
洗っているのは夕べ汚してしまったyoshiのシーツ。
スマホをいくらチェックしてもyoshiからの返信はない。
前は自分からの連絡ならすぐに返信して来たのに、…なんて寂しくなる。
シーツを干す為にスマホをジーンズの後ろポケットに入れようとした途端にメール受信の音楽がなり、慌てて表示を見た。
拓海から。
嬉しくないわけじゃない!恋人なのだから嬉しくないわけはないのだけれど、少しガッカリした自分が居る。
ラインには、
『 朝ご飯ありがとう。美味しかった。それと、シーツ洗濯するはめになってマジでごめんなさい!
でも、気持ち良かったから、今夜も盛り上がっちゃう?』
と書かれていた。
今夜の誘い。
yoshiは帰って来るのだろうか?
帰って来ないのなら寂しさでどうにかなりそうで、
盛り上がっても良いよ。
なんて返信してしまった。
すぐに拓海から返事が来て撮影が終わり次第に連絡するとあった。
了解と返信した後にため息つく。
拓海を大事にしなければいけない。
こんなにも自分を愛してくれる。
だから……
だから、早くyoshiを忘れなければ。
********
「社長、嘉樹君専属にしたい」
撮影を休憩にし、佐久間は豊川の側に来るなり、そう言った。
「専属?」
「はい。こんなにイメージピッタリの子なんていないですよ。今回は企業用と店頭用のパンフの撮影ですけど、雑誌とか広告とかに彼を使わせて下さい」
佐久間は真剣な顔で豊川に深く頭を下げる。
それは…願ってもない事だけど…。
豊川は悩んだ。
「もちろん良いよ」
そう言ったのは光一。
「お前…」
「良いチャンスじゃないか!」
張り切る光一に豊川は、
「まずは本人に聞かないと」
あまり乗る気ではない返事を返す。
「じゃあ聞きに行こう」
と光一は休憩を取っているyoshiの側に行く。
…が、さっきまで居たはずのyoshiの姿がない。
「あれ?嘉樹は?」
近くに居た灯に聞く。
「トイレですよ」
「ああ、トイレね」
わざわざトイレまで言いに行くと余計に断られそうなので、光一は待つ事にした。
*******
やばいなあ…
yoshiはトイレの洗面台で息を深くつく。
撮影途中から目眩がし始めて倒れそうだった。
仕方ないかな?
時間を惜しむ程に愛し合ったんだから。
目眩はきっと寝不足と緊張から。なんてyoshiは思う。
タケル、マジで体力有り過ぎ!
でも、俺の方が若いんだから体力的にも負けてないはずなのになあ。
なんて考えたら夕べの豊川と事務所での豊川の姿を思い出した。
自分の上で汗ばんで喘ぐ姿は凄く色っぽい。
それに上手い!
かなり気持ち良くって、エッチってこんなに気持ち良いんだって知った。
そして、撮影の間中、豊川に見つめられ、彼を欲しくなった。
俺、こんなに淫乱だっけ?
なんて考えてたら目眩が襲ってきた。
その場に座り込む。
う~、なんか気持ち悪い…タケル…。
豊川に電話しようとポケットを探るが、電話を忘れて来た事を思い出す。
戻るしかないか?
と立ち上がろうとしても立てない。
「おい、大丈夫か?」
真後ろから声が聞こえて、少し顔を上げた。
げ、…拓海。
一番会いたくない人物。拓海が居た。
拓海もyoshiだと気付いたみたいで、
「何やってんだよ」
と近付いて来た。
絶対に話したくない!
yoshiはフラつきながらに無理立ち上がり、無視して行こうとする。
「おい、」
フラついて拓海に支えられてしまった。
う~、触られたくないのに!
「お前1人か?」
拓海の質問にyoshiはつい首を振って答えてしまった。
あ~、もう!無視したいのに!
「じゃ、社長と一緒か?」
yoshiは頷く。
「ちょっと歩けるか?」
その質問にも頷く。
ともだちにシェアしよう!