102 / 275
君の手 3話
頬をほのかに赤くして幸せそうに笑う拓海。
幸せそうな彼とうらはらにナオはチクリと罪悪感。
自分の何気ない言葉に幸せそうに笑うのだから。
「なんか熱いねえここ…」
2人の会話にリナはちょっとニヤニヤしてしまう。
「ロケバス今なら誰も居ないし、しばらく使わないと思うから2人の世界にどうぞ」
リナは気を利かすように言う。
「うん」
拓海も即答した。
「じゃあ、誰か行きそうだったら教えてあげるわ。あ、念の為、鍵はかけた方がいいかも」
リナはそう言うと手を振ってその場を去った。
2人残されて、拓海はナオの手をぎゅっと握るとロケバスの方向へ歩いて行く。
ロケバスに着くまで何故かお互いに無言だった。
ただ、互いの熱が手から伝わる。
ロケバスに着くと拓海は鍵をかけ、奥の席までナオの手を引っ張り連れて行く。
席に座ると拓海はぎゅっとナオに抱き付く。
「拓海、なんだか小さい子供みたいだね」
何も言葉を発せずに黙っままに抱き付いて来る拓海。
「嬉しいから」
拓海は抱き付く手に力を込めた。
「好きって言っただけなのに?」
「もう一回言って…」
「好き…」
「もう一回…」
「好き」
「…俺も」
拓海はそう言うとナオを押し倒した。
「拓海…?」
拓海は押し倒したナオの胸に顔をうずめている。
「しばらくこのまま…」
拓海は顔を上げずにそう言う。
鼻をすする音と震えた声で泣いていると分かる。
それが分かるとナオは拓海の頭を撫でる。
頭を撫でる手。
疑うよりも信じていたい。
好きという言葉を信じたい。
********
ふと、夜中に目が覚めた。
広いベッドに一人。
yoshiは急に不安になる。
豊川を捜すように起き上がる。
そして、見つけた。
ベッドの側、床にマットを敷いて寝ている。
あ、そっか…、思い出した。
キスをした後、無理やり寝かしつけられたんだった。
手を握っているから、と言われて仕方なく…。
ちぇ、一緒が良かったなあ。
彼の腕に抱かれて眠りたいのに。
yoshiはベッドから降りると、豊川を起こさないように、彼の腕の中滑り込む。
胸に顔をうずめると、良い香りがした。
初めて抱きしめられた時と同じ香り。
安心する。
あああ、もう!この小悪魔は言うこと聞きやしない!
キスをした後も散々一緒に寝たいと言うのを宥めて寝かしつけたのに!
全く分かっていない。
理性が保てない。
あれだけキスをした後に我慢出来ないのは豊川も同じ。
鍵もかからない寝室でよがり声なんて上げられない。
yoshiが眠った後にシャワー浴びながら1人エッチ!
でも、yoshiを抱く想像しながら抜いたらすぐにイッてしまった。
本当は凄く抱きたいのに。
それなのに…。
腕の中、スルリと入り込んで来た。
胸に顔をうずめて眠るyoshi。
あああ、もう!せっかく抜いたのに!
でも、可愛いから結局許す。
もう、彼にはとことん甘くなってしまった。
腕の中の彼をぎゅっと抱きしめた。
「わっ、また寝たふり?」
yoshiは顔を上げた。
「違う、今起きた」
「本当?ごめん」
「本当…ごめんだよ」
豊川の言葉にyoshiは不安そうに、
「怒ったの?」
と聞いてくる。
「違う…我慢の限界」
豊川はそう言うとyoshiの唇を塞いだ。
yoshiの上に乗り何度もキスをすると彼の手が豊川の首筋に回る。
キスをしながら豊川はyoshiの下着の中に手を入れる。
「ん…、」
途端に漏れる声。
掴んだyoshiのソレも一気に大きくなる。
「はあ…んっ」
手を動かすとyoshiが乱れ出す。
ともだちにシェアしよう!