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束縛

******* 「拓海…」 名前を呼ばれ拓海は振り返る。  「真鍋社長…」 彼を呼んだのは拓海の事務所の社長。 「この後は撮影無いだろ?」 真鍋社長はニコリと微笑む。 「ない…ですけど」 拓海は社長のその微笑みと次の言葉が何であるかは予測出来た。 「じゃあ、今から私のマンションに来なさい」  思った通りの言葉。  しかも拒否権はない。 「はい……」 先に歩き出す社長の後を拓海はついていく。でも、足が重く感じる。行きたくないと心は思っているのに行くしかないのだ。 *******  社長のマンションの寝室、裸にされた拓海の上で真鍋社長が腰を振っている。彼が動く度に拓海の身体も動く……きしむベッドの音が拓海の耳に入り、耳を塞ぎたい。 「はあ…、んっ、拓海…」 腰の動きは次第に早くなっていく。 マンションに着くなり、拓海はベッドに押し倒され、激しく抱かれている。  この関係はもう何年目だろう? 家出した拓海に住む部屋や服やお金を与えてくれたのは真鍋。 身体の関係もその時から。きっと、この為に自分を芸能界へ入れたのだろうと、今なら分かる。 「あっ、…はあっ」 拓海は激しく揺さぶられ息を荒く吐く。  「んっ、…あっ、拓海」 やがて、真鍋は拓海の名前を呼び彼の中で果てた。 やっと終わった…。  拓海は息を整える。 好きでもないヤツに抱かれるのは前は気にしなかった。 でも、大事な人が出来たら苦痛でしかなくなっている。 「相変わらずお盛んだな」 真鍋は拓海の身体を自分の方へ抱き寄せる。  「何が?」 「キスマーク。アチコチにある」 真鍋は指先で拓海のキスマークのあとをなぞる。  ビクンと身体が震えた。 触んな!!そこはナオさんの領域。  「誰と寝ようと構わないが、スキャンダルはゴメンだ。HIROTOだけでも厄介だったのに」 「HIROTO、やっぱクビにしたの?」 「もう要らない」 真鍋はそう言うと拓海にキスをする。  舌が絡むキス…、  や、…………いや!  ナオさん!!! 助けてよ!  真鍋はまた拓海の身体を弄りだす。  「明日、休みだろ?沢山ヤレるな」 真鍋はそう言うと拓海を四つん這いにさせ、後ろから突き上げた。  拒否権は完全にない。 やめろ!  抜けよ、 そこはナオさんしか…。  拓海の心と裏腹に真鍋の行為は激しくなる。 

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