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束縛 2話
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休憩時間、yoshiはパソコンで料理のレシピを検索していた。
もちろん豊川の為に作る料理のレシピだ。
「ナオみたいにレパートリーないしなあ」
独り言を言いながら検索。
「何ぶつぶつ言ってんだ?」
後ろから光一の声。
「別に」
と振り返りもせずに返事を返したのに、
「料理のレシピかあ~俺は肉じゃが食べたい」
とパソコンを覗き込んで来る光一。
「何だよ光一の意見とか聞いてないし」
yoshiがムッとして返事をすると、
「また豊川か」
光一は拗ねたように言う。
「悪いか?」
「そりゃ悪いさ!何でいつも豊川ばっかりなんだよー!つまんねえー」
いきなり子供みたいにジタバタする光一にyoshiはキョトンとなる。
「何拗ねてんだよ、子供か?」
「うるせー子供で結構!豊川に肉じゃがとか作るんだろ?卵焼きとか!俺の好物なんだよー」
「うるせえー子供かよ!」
yoshiは料理のレシピを消すと席を立つ。
「なー、俺にも作れよ」
yoshiが歩く後をついて来る光一。
「うるさいなあ、何でそんなにうるさいんだよ」
振り返り文句を言う。
「だって、美味いから」
光一はニコッと笑った。
「あ、そっ」
yoshiはすぐに向きを変えてまた歩き出す。
「なんだよ~嘉樹のケチ」
拗ねる光一は子供のようで笑える。
美味いって言われて悪い気はしない。
豊川にばっかり!
なんだかヤキモチを妬かれていても、前みたいに鬱陶しくはなくなっているのが自分でも不思議なyoshiだった。
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拓海はシャワーを浴び、バスローブを勝手に借りた。
どこに何があるのか分かりきっている。
真鍋はベッドで熟睡中だ。
今のうちにベランダに出てスマホでナオに電話を入れる。
ナオさんまだ仕事中かな?
コールが何回鳴っても出ない。
声聞きたいのになあ。
結局諦めて電話を切った。
「誰に電話してるんだ?」
声に驚いて振り向く。
真鍋が立っていた。
寝てたんじゃないのかよ…。
拓海は、
「飲みに行く約束していた友人に行けなくなったって言おうとしてたんだよ」
と誤魔化す。
「先約あったのか、それは悪い事したな」
真鍋の言葉に拓海は白々しいと思った。悪いとか思ってないくせに!
「飯でも食うか?」
真鍋は拓海の肩を抱く。
そんな暇あったら解放してくれたら良いのに!
「あんま腹減ってない」
拓海はぶっきらぼうに答える。
「まあ、そう言うな」
真鍋は部屋へと拓海と戻り、どこかへ電話をかけている。
ナオさん…会いたいなあ。
拓海はため息をつき、ソファーに座った。
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午後からはyoshiを事務所で留守番させて居た豊川はケーキ屋を覗き込んでいた。
留守番させたからなあ。
そう呟きながらyoshiが好きそうなケーキを物色する。
「ニヤニヤして気持ち悪いぞタケル」
バリトンボイスに振り向くと、ブランド物に身を包んだ男性が居た。
田中薫……学生時代からの古い知り合いだ。
「悪かったなニヤニヤしてて」
豊川は咳払いをする。
「お前甘い物食べないだろ?恋人でも出来たか?」
薫はニヤリと笑う。
「薫には関係ない」
「元恋人につれなくするなよタケル」
薫は豊川の肩を叩く。
元恋人……それははるか昔の高校生時代だ。
「かなり前の事だろ?もう半世紀は経ってるよ。それより何やってんだよ、こんな所で」
「お前がニヤニヤしてケーキ屋の前に居たから車停めて来た」
「もの好きめ!」
豊川は舌打ちする。
「舌打ちか…まあ、良いけど。ケーキ買ったら送って行こうか?」
「遠慮するよ、お前の事だからケーキを待っている相手を見るつもりだろ?それに車で来てるしな」
薫の申し出を豊川は断った。
「興味あるんだよ、そんな風にニヤニヤする相手に」
「薫が興味持つとろくな事ない」
豊川はそう言うとさっさとケーキを決め、
「じゃあ」
と薫の前を通り過ぎた。
「つれねえなあ」
薫はそう言って笑う。
豊川は振り返りもせずに店を出た。
車に乗り込み、ミラーで確認する。
アイツの事だからつけてきそう…。 そう、元恋人だから知り尽くしているのだ。
警戒するが、追って来てはいないようで車を発進させた。
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