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束縛 6話
きっと、今の自分はニヤニヤしているだろう。
薫の「ニヤニヤして気持ち悪い」という言葉を思い出した。
確かに…ミラーに映った自分を見て、そう思った。
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おでこにキスされたyoshiは、
「怒ってない?」
と潤んだ瞳で豊川の顔を覗き込む。
その顔が可愛くて見とれてしまい、返事を返すのを忘れてしまった。
「嫌いになった?」
返事を返さない豊川に不安になったyoshiは涙をジワリと滲ませて聞いてくる。
あーー!もう!可愛いんだよ!
豊川はyoshiを引き寄せ、そのまま激しいキスをした。
*****
「なるほど、可愛い子猫ちゃんを飼い始めたわけか」
豊川の停まった車から少し離れた場所に停められた車内で薫はニヤニヤしながら呟く。
そう、豊川が思ったように後をつけてきていた。黙って見過ごすはずがなかったのだ。
なので、後をつけてみたら、可愛い男の子と出て来た豊川を見つけた。
高校生くらいか?なんて思ったけれど、童顔なだけかも知れないと思った。
未成年に手を出すようなバカな事はしないと性格上知っているから。
「あのキスじゃ身体の関係も既にあるな。いいもん見たな」
薫は満足げにニヤリと笑うと車をゆっくり走らせた。
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激しいキスの後、名残惜しそうに豊川は唇を離した。
「今日は本当に帰るのか?」
誘うようにyoshiに聞く。
「薬…買わないと…」
yoshiも悩んでいるようで、話の主語が抜けている。
「は?薬?具合悪いのか?」
豊川は慌てたようにyoshiの額に手をあてる。
「違う、ナオが具合悪くて」
「ああ、そっかナオか」
yoshiが具合悪いわけじゃないと分かりホッとするが、もちろんナオも心配だ。
「そっか、じゃあとりあえず戻ろう」
豊川は車を発進させた。
「本当はタケルのマンションに行きたい…でも、」
yoshiの手は豊川の手をぎゅっと握ってくる。
「心配なんだろ?キーを渡してるんだから、いつでもおいで」
yoshiに微笑む豊川。
凄く嬉しい。
「うん。毎日行きたい…ううん、一緒に住みたい」
yoshiの本音。
さっきの豊川の態度がyoshiをまた本気にさせた。
ずっと一緒にいたい…。
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「豊川さんまですみません」
ナオはそう言って頭を下げる。
豊川とyoshiは少しでも長く一緒に居たいので、薬局まで2人で薬を買いに行き、お見舞いを理由に家に上がり込んだ。
よって、ナオに気を使わせる羽目になってしまった。
ナオの性格上、具合悪くても客である豊川にお茶を出そうとしたり、色々と動くのだ。
「ナオ、気を使わないで良いよ。夕飯くらいなら私も作れるし」
そう言って豊川は上着を脱ぐとネクタイも外す。
ネクタイを外す姿がやっぱりカッコいい!とyoshiはつい、ニヤけながら、
「えっ?俺作るから座っててよ」
と言う。
「じゃあ、2人で作ろうか?」
「うん」
yoshiは嬉しそうに返事を返す。
2人並んでキッチンに立つ。
yoshiが指示を出し、豊川が言われた通りに動いている。
野菜を切ろうとした豊川に、
「あ~、シャツの袖、ちゃんとめくりなよ」
とyoshiは豊川のシャツの袖のボタンを外すと汚れないようにクルクルと折り込んで行く。
「悪いな嘉樹」
「どういたしまして」
お互い、ニコッと微笑み合う。
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会いたいなあ。
ソファーに座る拓海はスマホを見つめている。
着信に気付いて、電話くれないかなあ?
今…声が聞きたい。
「拓海、あまり食べなかったな」
真鍋はそう言いながら拓海の横に座る。
「腹減ってないって言ったじゃん」
真鍋が用意した料理に殆ど口をつけなかった拓海。
そんな気分じゃなかった。
隣に座った真鍋は拓海が着ているバスローブに手をかけ、脱がしていく。
まだ、やんのかよ!
正直ウザい!
さっきのセックスも全然感じなかった。
ソファーに押し倒され、愛撫の後、足を開かされる。
愛撫も、ただ気持ち悪いだけ。
ナオとのセックスはあんなに感じるのに。
開かされた足。
挿入されても感じないのに、
挿れている男は満足そうな顔で腰を振っている。
なんかもう…この束縛から逃げ出したい。
激しく揺すられる拓海の手からスマホが落ちる。
フカフカのカーペットに落ちたスマホはバイブし始めた。
それは…ナオからの着信だった。
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