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第5話:【可愛いは正義なのか? 】可愛い僕を肩車できるんだから嬉しいでしょう。
「店員よべよ」
「店員はいけません。先輩。早く肩車。可愛い僕を肩車できるんだから嬉しいでしょう。」
「その言い方、君はサラか。アイツそっくりだぜ。」
「え?やだ。反応するところはそこですか。」
先輩相手にこいつ。絶句した兄崎にフレデリックが信じられないものを見る様に五十嵐を見た。
「大体君は正気??俺の国の基準じゃ、男の少女趣味なんて考えられないね。縫いぐるみを欲しがる男なんて、許されるのはうんと小さな子供位だ。」
馬鹿にする様な笑みに五十嵐はむくれた。
「なんですか、それ。じゃぁ、あれが生きていれば、一緒に寝てもおかしくないんですか。生きてるか生きていないかで、差別するんですか。縫いぐるみ馬鹿にしないでください。」
面倒くさいが、五十嵐だから仕方が無い。
「え?抱いて寝るつもりなの?はははははは。」
「…朝起きたら枕代わりになってるかもしれませんけど、ちょっと、笑わないで下さいよ。」
結局嫌がるフレデリックが肩車をして、何とか鳥かごを天井から下した。
何故これだけ騒いでるのに店員が駆けつけてこない。「お客様、勝手に天井から鳥かご外すんじゃねぇよ」と怒ってくれたら良いのにと兄崎は心底思った。
そして天井から吊るされている時は気がつかなかったが、縫いぐるみの尻尾に非売品と小さく書かれたタグが貼り付いていた。成程、店員を呼ぼうとした兄崎を制止し「店員はいけません」とだけ言った五十嵐は思えばこの時点で、展示品が商品ではない気がついていたのだろう。
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