12 / 62

第12話

しばらくして、東城から連絡があった。早乙女瑠璃子との話が終わったという。 広瀬も一通りの情報収集を終えた。東城が来るというので、どこか暖かいところを探したがない。バス停前にはひっそりと小さな雑貨屋があったので、その軒下に入った。雑貨屋は閉まっているのか開いているのかわからないが、覗いた店の中には誰もいなかった。日も落ちてきた。東城はあと何分くらいで来られるだろう。 身体が凍えてきたので、移動しようかと思っていたら、やって来た車から4人の男が降りてきた。 背の高い低いといった違いはあるものの、全員身体つきがごつい。目つきが悪く、見るからに不穏な雰囲気の男たちだ。そして、広瀬の方にまっすぐやってくる。 広瀬は、足元や周囲を見た。多勢に無勢の場合は、有効な武器が必要だ。手近になにかないだろうか。 探している間にも男たちとの間合いがつまった。先ほど話を聞いた親切な田舎の人たちとは異なる風情だ。 「おい、お前、なんで小松のことを聞いて回ってるんだ」といきなり1人に聞かれた。 「小松は、今、どこにいるんだ?」と横の男に聞かれる。 どちらも、穏やかとはほど遠い声だ。 「あなた方は、どなたですか?」と広瀬は聞き返した。小松とどんな関係だろうか。「小松さんのお知合いですか?」 「お知り合いもお知り合いだよ」と答えられる。「で、小松はどこに?」 「なぜ、探しているんですか?」 「こっちが聞いてるんだよ。答えろよ」そう言われて軽くこづかれそうになった。その手は横にずれてかわす。次に手がでたら反撃しようと思った。男たちの様子を観察し、足をゆっくり動かして距離を作る。 目の端に、少し離れた場所でタクシーが停まったのが見えた。東城が降りてくる。

ともだちにシェアしよう!