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第12話
しばらくして、東城から連絡があった。早乙女瑠璃子との話が終わったという。
広瀬も一通りの情報収集を終えた。東城が来るというので、どこか暖かいところを探したがない。バス停前にはひっそりと小さな雑貨屋があったので、その軒下に入った。雑貨屋は閉まっているのか開いているのかわからないが、覗いた店の中には誰もいなかった。日も落ちてきた。東城はあと何分くらいで来られるだろう。
身体が凍えてきたので、移動しようかと思っていたら、やって来た車から4人の男が降りてきた。
背の高い低いといった違いはあるものの、全員身体つきがごつい。目つきが悪く、見るからに不穏な雰囲気の男たちだ。そして、広瀬の方にまっすぐやってくる。
広瀬は、足元や周囲を見た。多勢に無勢の場合は、有効な武器が必要だ。手近になにかないだろうか。
探している間にも男たちとの間合いがつまった。先ほど話を聞いた親切な田舎の人たちとは異なる風情だ。
「おい、お前、なんで小松のことを聞いて回ってるんだ」といきなり1人に聞かれた。
「小松は、今、どこにいるんだ?」と横の男に聞かれる。
どちらも、穏やかとはほど遠い声だ。
「あなた方は、どなたですか?」と広瀬は聞き返した。小松とどんな関係だろうか。「小松さんのお知合いですか?」
「お知り合いもお知り合いだよ」と答えられる。「で、小松はどこに?」
「なぜ、探しているんですか?」
「こっちが聞いてるんだよ。答えろよ」そう言われて軽くこづかれそうになった。その手は横にずれてかわす。次に手がでたら反撃しようと思った。男たちの様子を観察し、足をゆっくり動かして距離を作る。
目の端に、少し離れた場所でタクシーが停まったのが見えた。東城が降りてくる。
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