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第24話

小松が行方不明になった日は2年前の9月24日だ。 妻が警察に届けた失踪届の記録に残っている。特にこの日の浜口の行動を聞く必要がある。広瀬はうなずいた。だが、アリバイがあったとしてそれを証明することはできるだろうか。2年以上前のことを覚えていて証言できる人は少なそうだ。 ただし、見つかった死体は白骨化しており、本当に9月24日に小松が亡くなったかどうかはわからない。死後、2年以上経過しているのは確かだ。 しばらくして戻ってきた浜口は手にぶ厚いバインダーをもってきた。 「小松が担当していた案件の書類です。小松が行方不明になって書類を整理してたらでてきたんです」 開くと、インデックスが乱雑につけられている。最初を開いてみるとそれがなにかはすぐにわかった。 「浮気調査の案件ですね」 男女がホテルに入っていく写真が貼ってあったのだ。二人は、軽く手をつないでいる。暗いため画像は粗い。 「そうです。この写真は、依頼されて報告書に出しているものです」 「この調査対象から恨まれているのでしょうか?浮気が発覚して?」 浜口はうなずいた。「恨まれている可能性はあります。理由は、浮気調査のためではないですが」 宮田はファイルのページをめくった。調査対象の男の複数日にわたる行動が書かれている。さらに、会計帳簿のようなものや銀行口座などもでてくる。 「浮気調査以外の調査もしていたのですか?」 「はい。小松は、対象者の行動を探るときに他の弱みも探していたようなんです。この対象者は浮気もしていますが、会社の金を使い込んでいます。小松はその情報から、対象者を脅していたんです」 「脅迫ですか?」 「金銭を脅し取っていたようです」 「どうしてそれをご存知なのでしょうか?」 「行方不明になった後、調べたら、彼の個人口座の情報を得まして、そこに色々と不明瞭な入金があるのを見つけました」 「脅迫は犯罪です。警察へ届けなかったのですか?」と広瀬が聞いた。 浜口は返事をしなかった。 「浜口さんにとっては大事な顧客情報ですしね。小松さんも行方不明じゃ確かめようもないでしょうから、やむを得ない点はありますね」と宮田が浜口のかわりに言った。 「脅迫を受けていたと思われるのはこの対象者だけでしょうか?」 「他に2人います。そのファイルの後ろに入っています。私がわかったのはその2人ですが、他にもいるかもしれません」 「このファイルも含めて、小松さんが扱っていた案件のファイルをお預かりすることはできますか?」 浜口は了承した。

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