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第25話
大井戸署に戻る頃には日が暮れていた。
広瀬は出張が想定以上に長引いてしまい、宮田と同じく事務所は久しぶりだった。
事務所に入ると心なしか閑散としている。さらにインフルエンザで何人か休んでいるようなのだ。この分だと他にもかかる人間がでてきそうだった。
広瀬は宮田と一緒に、上司の高田に報告した。
「早乙女瑠璃子の話から、殺された小松と口論していた元同僚の浜口が怪しいと思っていたら、他にも怪しい対象者がでてきたな」と高田は言った。「明日、この脅迫を受けていたと思われる対象者のところに行って来い。このファイルに名前も住所も丁寧に書いてあるから、会うまでは楽な作業だな。だが、まだ、こちらが先方を疑っているということは明かすなよ。脅迫の件もいわなくていい。小松の案件の対象者全員にあたっていると言え。見つかった死体が小松のだということはニュースになっているから、もし、犯人だとしたら、ついに見つかったと思って内心穏やかではないだろう。お前たちが行くだけで表情や発言に動揺が出る可能性がある。それを見逃すなよ」
広瀬と宮田は浜口が提供してくれたファイルの内容をよく確認するように言われた。
整理していくと脅迫していたと思われるケースがいくつもでてくる。浮気と会社の金を使い込んでいる婿養子の会社経営者、いかがわしい場所に出入りしている教育関係者、私的な性行為の写真をもとに脅迫されていた人物からの依頼なのに、解決後今度は小松が脅迫したということまであるようだ。
宮田はそれらの案件をみながらマスクごしに何やらブツブツ言っている。
どうせ、ひどい奴だなあとか、とか言っているのだろう。
小松はかなり金に困っており、職業倫理も低かった。この脅迫されていた相手の誰が彼を殺害してもおかしくはない。
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