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第38話
翌日、広瀬と宮田は、興信所の浜口から預かった小松が行方不明になる前の案件の書類を整理した。ほとんど、メモ程度しかのこっていない。後は、請求書や領収書の写しだ。
書類を手に片っ端から電話をかけ、どんなことを頼んだのかを聞いていくのだ。小松の動きを埋めていく作業だ。
4月の初めから9月24日の妻が小松と連絡をとれなくなった日までの期間を整理した。
案件といっても、それほど多くないことがわかる。興信所の仕事とは思えないような何でも屋のような仕事もしていたことがわかった。
浜口に犬と小松の関係を聞いてみたが、覚えていないと言った。ロッカーの奥からファイルを取り出し、かなり細かく調べてくれたのだが、犬についての記述はなかった。
「まだ、書類にしていなかったのかもしれません。小松は、案件を整理するのを面倒がっていたので」と浜口は言った。
ほぼ1日中、あちこちに電話をしていって、小松の動きの表を埋めていくと、彼の生活ぶりがわかってくる。
群馬に月1、2回行っていたこともわかった。違法賭博に手を染めていたためだろうか。賭場の件と持ち逃げした金の件は、インフルエンザが治って復帰した『触り上戸』の男が調べている。
夜になって、宮田が電話を切って広瀬にメモをみせた。
「いたぞ」と彼は勢いづいていう。
「小松に、犬探しを頼んだ人だ。今から行ったら会えるらしい」そう言いながら立ち上がる。
広瀬は、うなずいて、宮田の後について行った。
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