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第45話

どれくらい眠ったのだろうか。はっと気づいて目を開けた。時計を見ると朝と言うよりも未明だ。広瀬は、身体を起こした。東城が横で寝ぼけてむにゃむにゃ言っている。 起こさないように気を付けながら彼を乗り越えて、ベッドからつま先立ちで床に降り、音を立てずに歩いてドアを開けた。 リビングのカーテンのわずかな隙間の向こうに見える外はまだ暗い。ローテーブルの上のタブレットに電源を入れた。 もう一度、小松の行動を確かめる。日を追って何度も見て、やっぱりそうだ、と広瀬は思った。 すぐに身支度を始めた。大井戸署に行って資料を整理し高田に報告しなければ。 顔を洗い、着替えようとしていると寝室のドアが開いた。東城があくびをしながら出てくる。 スーツを手にしている広瀬をみても、まるで予期していたかのように驚きはしなかった。 だが、「こんな早くに行くのか?」と声はやや呆れている。「ほとんど寝てないだろ、お前」 広瀬は、タブレットを示した。 「わかったんです」 「なに?」と東城はまたあくびをした。「2時間後でもいいんじゃないか?小松はとっくに白骨死体で、何時間か後でももう変化しない」 そんな言葉は素通りして話をする。誰かに自分の発見を話さずにはいられない。 「20日に、小松は、犬を探しています。翌日、21日には、朝、事務所に行っています。24日まで毎日です。22日も23日もです。そして、時々GPS情報はなくなりますが、基本的には都内を移動し、夜には家に戻っています。24日の朝、事務所に行った後は、位置情報もなくなっています」 「だから、24日に殺されて携帯もどこかに捨てられたんじゃないのか?」東城は興味なさそうに答える。 広瀬はかぶりを振った。「不自然なんです。小松は、ずっと、朝、事務所に行ったりなんてしていませんでした。生活は不規則で、出かける先も行き当たりばったりです。なのに、なんで、この21日から24日に限って、毎朝、事務所に行っていたのでしょうか」 東城が眠そうにしていた目を見開いた。 「この間、小松の携帯を持って行動していたのは、本当に小松だったんでしょうか?」 「別な誰かが、工作していたってことか?」 広瀬はうなずいた。「小松が毎朝事務所に行っていると思っていた人物です」

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