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第46話
「だけど、何のために?」
「わかりません。でも、小松が亡くなったのは20日であった可能性もでてきました」
「小松が24日に行方不明になったって証言したのは、小松の妻だよな」
「そうです」と広瀬は言った。
もし20日に殺されていたのだとしたら虚偽の届け出をした小松の妻への疑惑が高まる。
「小松は、20日には迷子犬を見つけていたんだと思います。小松は犬を見つけていて、何か籠のようなものに入れて、タオルをかけて自分の家に連れて帰っています。その時、犬の吠え声がしたのを、近所の女性が聞いています。犬は、声帯をとっていたので、その吠え声が犬の声だとは女性にはわからなかった」広瀬は、何度も小松の行動履歴を見た。「もし、この21日から24日までの間に、小松が生きていたら、飼い主に連絡したはずです。犬を部屋においていても無駄ですし、報酬も欲しかったはずです。でも、小松は連絡できなかった。おそらく、20日夜に犬を連れて自宅に帰った後、すぐに殺されたのだと思います」そう広瀬は東城に告げた。
「小松の妻が殺したのか?」
「それを、今から調べます」と広瀬は答えた。「大井戸署に行きます」
東城は、わずかな時間黙っていた。
それから彼はうなずいた。「わかった。だけど、朝飯くらい食って行けよ。お前が身支度している間に、パン焼いてコーヒー入れてやる。このまま大井戸署に行ったら、お前、捜査にかまけて、一日中何も食べずにいましたってことになりかねないから」と言った。
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