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第50話
すぐに島村に事情を聞くことになった。小松の妻の証言の後、今回の捜査の担当者はいくつかのチームに分かれた。
島村の会社に行く者、家に行く者、証拠品を確認しに行く者などでメンバーがいくつかにわけられた。広瀬と宮田は、会社に行くチームになった。
島村は、オフィスビルの中にいた。数人の刑事が受付に行くと、すぐに社長室に通された。
彼は、忙しそうにカバンに書類を入れたり、出かける準備をしていた。
「何の御用ですか?」と不機嫌そうに聞かれた。
「小松さんの事件について話を聞きたいので、署にご同行をお願いしたい」
「任意ってやつですか?」
「今のところは」
島村は、時計をみた。「お断りします。私はこれから、四国に出張に出かけなければならないんですよ。私の知っていることは既に全部お話ししていますよ」
「何時の飛行機ですか?」
「飛行機じゃないです。屋上にヘリを呼んでいるんですよ」と島村が言った。「これから、四国に急いで飛ぶんです」
そう言いながら彼はカバンを持って部屋をでていこうとした。
「待ってください」と言いながら刑事たちは後をついていった。広瀬と宮田も後ろに続く。
屋上に出ると、風が強い。日がやや落ちかけている。まだ、ヘリコプターは到着していなかった。
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