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「……は、……え、え?」  予想外の言葉だったのだろう、颯馬が素っ頓狂な声を上げる。 「全部脱いで。一緒に風呂入ろう。準備してくるから」 「え、な、何?」  うろたえ始めた颯馬を置いて、坂城は浴室へ向かう。湯船に湯を溜めて部屋へ戻り、颯馬の腕を引いて再び浴室へ向かっていく。すると、脱衣場の前で颯馬が立ち止まった。  振り返った坂城を颯馬が困惑した眼差しで見上げてくる。 「ちょ、ちょっと待って、先生、さすがにそれは……」 「嫌か?」 「嫌ってわけじゃないけど、でも、は、恥ずかしいっていうか……」 「今さら何言ってんだよ」  おまえの身体は隅から隅まで知ってるよ、と付け加えると颯馬の頬がみるみるうちに赤く染まる。 「だ、だってお風呂は、一緒に入ったことないし!」  確かに一緒に風呂へ入ったことはないが、そんなに身構えることだろうか。一週間の中で何日も朝起きた時から眠る時まで一緒にいて、互いの身体に何度も触れて、目にしてもいる。颯馬は恥ずかしがっているようだが、風呂に入りたい理由は下心あってのものではない。  今のところは、だけれども。 「俺だけのものになりたいんだろ?」  坂城が問うと颯馬が疑惑に満ちた眼差しを向けてくる。 「お風呂一緒に入ったら先生だけのものってことになる?」 「少なくとも、入らないよりは親密になれるんじゃない?」 「……」  唇を尖らせた颯馬が渋々といった様子で頷いた。不服なのか照れているのか、おそらくその両方だろう、颯馬が一歩足を踏み出す。坂城も再び足を進めて脱衣場へ入った。  ここまで来てもまだ恥ずかしがっている颯馬を笑いながら服を脱がせ、自身の服も脱ぎ捨てる。それから二人で浴室へ入った。  坂城の行動の意図に颯馬はいつ気付くだろうか。気付いた時にどう思われるのか、どういう行動をされるのかは考えないことにする。引き返せない道を颯馬は選んだ。だから坂城も引き返さない。何も考えずに突き進むだけだ。  初めは硬直して無言だった颯馬も、坂城が髪を洗ってやり、身体を洗ってやる頃にはだいぶ話すようになってきた。背後から抱きかかえるようにして、泡だらけの颯馬の腕に自らの手を滑らせる。指の先まで辿って肩の方へ戻ってくると、颯馬が小さく身じろいだ。 「……っ、あ、の、先生?」 「ん?」 「自分でできる……」  振り返ろうとする颯馬を制して、坂城は耳元で低く言う。 「……それじゃ意味ないだろ」 「何で?」 「……何でも」  それ以上颯馬が問いかけてくることはなかった。  左腕に続いて右腕を、それから胸、腹、脇腹と手を滑らせていく。背後から頬へキスをすると、颯馬がもたれかかってくる。身体の力を抜いて、すべてを坂城に預けるようにして。  どうやら坂城の意図を察したらしい。坂城の顎へ甘えるように額を擦りつけてきた颯馬がふわりと瞼を閉じる。  身体の隅々まで坂城の手で清めて、触れていく。全身の色を塗り替えていくように。  太腿を撫で下ろして内腿へ手を這わすと颯馬の身体がぴくりと跳ね、同時に微かな吐息が零れ落ちた。 「……ぁ」

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