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第15話(幼馴染)

「とにかく、うちじゃ暖を取ろうにもボロすぎて隙間風だらけだから、他に移動しよう」 「3億貯めたていったよな」 「養うまでは切り詰めないと、散財はできないよ」 「ははっどこまで一途なんだよ」 「僕、諦めたわけじゃないからね、決して」 「あ、そうだった?てっきりそうだと思って怒り狂ってたとこなんだ。そんなに割り切れるような存在だったのかって」 まぁ、追い詰めてみようとしたのは俺だから、怒る資格はないんだろうけど。 俺だって陽がいないといけないということが判明しただけ結果オーライとしようじゃないか。 妙案を思いついてさっきから脳内では、陽が愛しいのと自己肯定感で支配されている。 誰も文句のつけようがないほどの名案だ。 とりあえず、必死で温めてくれようとしている陽をそのまま抱き上げ、階段を降りていく。 「陽が俺を呼ぶんじゃなくて、俺がお前を呼ぶことにする。陽、俺も部屋を借りるから、それまでの一ヶ月は二人で寮暮らしだな」 「え?!アウトじゃないのそれ」 「当たり前、アウトだ」 「ブ、ハハハハ!平然と言ってのける秀くん、らしくて大好き」 「俺もここまでお前に執着していたと気づかせてくれたのは陽なんだからな。今更逃げようなんて、許さんからな」 俺に勝手に連れて行かれている陽は心底嬉しそうに笑った。 頬擦りとか、可愛すぎか。 ――秀くん、捕まえた―― (オチって難しい)

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