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第14話 ノリオ

とうとう参観日だ ユウトが授業を受ける、それを見られるんだ だけど行ってくれるだろうか もしもまたいじめられたら、何か言われてもっと学校が嫌になったら 嫌にならないために弁当を作ってみた きっとこれが話題になって目立って仲良くなって さすがにさけとば焼きを弁当にいれるわけにはいかない 私はコンビニで冷凍食品を買い漁った 途中変な目で見られた気がしたが弟のためだと思えば仕方ない 帰ってきてもまだユウトは寝ていた、部屋から出てきた形跡もない いや良いんだ何時になっても学校に行ってくれるなら レンジがあったのは救いだった 急いで積めて学校に向かう 職員室に先生らしき女性がいた…こんなかたがユウトをあんなにも心配してくれていたのか 舞い上がる気持ちを押さえてその人の前に行く 「えっと…ユウトの兄です……その弁当を…もしかしたらユウトが来るかもしれないので、お手数ですが校門の前で待ってあげてください」 「ありがとうございます!きっとユウト君も喜びますよ、参観日見てあげてくださいね」 先生は立ちあがり快くユウトの弁当を受け取り 丁寧に礼までして 私は嬉しさのあまり職員室の前で一礼してしまった その廊下でユウトに酷いことを言った子達にであった クスクスと笑みを浮かべ 会えたことが嬉しかったのだろう 「こんにちはおじさん」 私は彼らに私とユウトの関係などを教えやった その話を聞いていた彼らの顔が段々と強ばっていくのが分かった そうかそんなに酷いことをユウトに言ったのか 私はあくまで笑顔を続けた 「これからもユウトと仲良くなってほしい」 彼らは頷くだけでなにも言わなかった 怒りを押さえるだけで何かしてしまう前に目の前から消えた 廊下の曲がり角で彼らを見てみると、まだ頭を下げていた 分かってくれたのだろうか もうすぐお昼になる、このまま待てば会えるかもしれない だが携帯がなった 知らない電話番号だ…もしかしてユウトに何か 私は学校からでて車に向かった 電話をとると…車の手前で足が止まった 「ノリオさんですか?あなたの母親が倒れました」 すぐに電話を切り車に飛び乗る…もう少し待ってくれればユウトが学校へ来たかもしれないのに 病院へ向かう、背中で小さく学校のチャイムが鳴っていた 病院につくとすぐに受付で母の場所を聞いた 母はベッドで色んな機械と一緒に寝ていた 寝息は機械の音で消されている 「かぁさん、ユウトに会えたのはあなたのお陰です まだ兄さんって呼んでくれていないが、いつか必ずユウトに呼んでもらうんだ あの日母が誘ってなかったら会えなかった ありがとう…ありがとう……」 機械音は私の泣き声も消してくれた もうじき授業が始まる だがこの顔で行けるわけがない……私は涙が引くのを待つために車のなかで気のすむまで泣いた ユウトはあの日こんな顔はしなかった、きっとひどい生活だったんだ それを考えるとまだ涙が止まらない ようやく落ち着いてきた…急いで車を走らす 駐車場に停めて走る 気持ちがまだ落ち着かない、時々落ち着かせるために止まってはユウトに会うときの顔を作った 怒ってるだろうから申し訳なさそうな顔の方がいいはずなのになぜか笑顔しか作れなかった ユウトが校門の前で待っていてくれた そのとき母のあの姿が頭をよぎってしまった もしもの時のために一度だけでもユウトが私を兄さんと呼ぶ姿を母に見せてあげたい ユウトに話すと、ユウトはなにも言わず車に乗った やっと兄さんと呼んでくれるのだろうか

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