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第4話 ノリオ

やはり親戚一同で飲むはめになった…母親はいち早く私の働き口を聞いて回っている 誰にでも出きるような仕事はないか…案外良い顔してるからレストランはどうか…なんでも出きる…母親は勝手だ あの子もいた、子という年でもないか高校ぐらい…思春期や反抗期がやって来てるのだろう こういう楽しい場所であんなに悲しげな顔が出きるのだから…話しかけた方が良いのだろうか 職探しの話に比べれば…職探し… 私は頭のなかであらゆる考えが浮かんできた この子と会えたのもきっとなにかの縁だ 私たちは腹違いの兄弟… 母親とあんなに離れて一人でいるところを見ると…母親とも上手くいってないのだろう あんな寂しそうな顔を…私が代わりに…私が彼の兄に!! 「かぁさん…悪いがあの子は誰なんだ?」 母親はあの子を見てフフフと笑っている… 「あの子はね…あの人のもう一人の奥さんの子…たしか…ユウト…そうユウト君」 「ユウトか…喜べかぁさん、私に一世一代の仕事が舞い込んできた」 私の顔もほころんでいた…一世一代の仕事 これは誰にも代わりができない私だけの仕事 私はユウトのもとへ急いだ…端のせきと言うのも悪くない…それよりも今すぐに話したい 「はじめましてだな…いやお焼香の時にすれ違ったか、私はノリオだ…実は私たちは腹違いの兄弟なんだ…驚いただろう、私だって嬉しいよユウト君っていうんだな…いやユウトと呼ばせてほしい…そして私のことは出来れば…」 そこでユウトがイヤホンをつけていることにやっと気がついた…恥ずかしくてたまらない しかしこの喜びを早く伝えたい…近くのアンケート用紙の裏を使って今伝えるべきことを書き綴った

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