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第19話

猿の摩羅をしゃぶり始めた桃太郎に鬼たちは度肝を抜かれておりますが、構わずちゅぱちゅぱと吸い続ければ、猿はとても気持ちよさそうに腰をくねらせます。 子種を吸い出すというより、尺八がいかによいものかを知らせることが目的でしたが、猿の摩羅を吸っている姿を鬼とはいえ複数の男たちに見られている状況は、桃太郎の摩羅にも興奮の火を灯しました。 一方、同時に呼ばれたのに構ってもらえない犬は、きゅんきゅんと切なげな声を上げて鼻を押し付けてきます。自分の摩羅も吸うてくれと素直に懇願するその様子は、欲望に不正直な鬼たちに比べれば極めてかわいらしく思われ、桃太郎は初めて犬の頭を撫でてやりました。 そしてすっかり肉付きのよくなった犬をひっくり返し、ぱくりと摩羅を口に含んでやれば、感無量と腰を振ってきます。 すると今度は猿が桃太郎の着物の袖口を掴み、遠慮がちな力でくいくいと引っ張ります。犬の摩羅をしゃぶったまま目線だけを向けると、真っ赤になった摩羅を器用に手で掴んだまま途方に暮れた顔をしている猿と視線が合いました。その様子があまりにも健気でしたので、桃太郎は猿の頭も撫でてやり、犬の摩羅から口を離さないまま、猿の摩羅は手で扱いてやります。 鬼たちは口ぐちに何か言っておりますが、ちらりと盗み見れば、皆一様に顔を紅潮させ、その腰布は大きく張り出しております。 獣の摩羅に奉仕する姿を見られ、その姿で複数の鬼を興奮させているのだと思えば、桃太郎は自らの摩羅に手を伸ばさずにいられません。 黄鬼に緩く着せられただけの着物は、お(あつら)え向きに前が大きく肌蹴(はだけ)、真っ白な足が根元まですっかり見えておりましたので、桃太郎は苦も無く片手で褌を解き、既にすっかり勃ち上がっていた摩羅を扱き始めました。 そのまま神通力が高まるに任せ、犬の摩羅を吸う口も猿の摩羅を扱く手も止めず、鬼たちによく見えるよう足を大きく割り開いて、もう一方の手で己の摩羅を存分に扱きます。 するとまずは犬があおっあおっと高い声で鳴いて桃太郎の口中に子種を飛ばしました。いつもならすぐに飲み干してしまうところですが、桃太郎はあえてそれを飲み込まないまま、猿の摩羅に移って吸い上げました。 手で寸前まで高められていた猿は、涎を垂らして腰をかくかくと振り、こらえる間もなくこちらも桃太郎の口に子種を飛ばします。 仲が悪いと言われることの多い犬と猿でしたが、桃太郎の口の中で交流し、和解し、渾然一体となっておりました。 その子種はこれまでで一番濃い獣臭さを醸し出しており、桃太郎は背筋にぞくぞくとした興奮が駆け上がるのが感じられ、己の摩羅を扱き立てます。 そうして二種類の子種が混じり合った新しい味わいを舌で存分に堪能したのち、仰のいてごくりと飲み込みました。 実に三日ぶりの食事です。体に染み渡っていく子種の生命力に、意外なことにありがたくて涙さえこみ上げてきました。 この時初めて、桃太郎はここまで勝手についてきた犬と猿への感謝の心が芽生えました。ついてこいと言ったわけではありませんが、そうは言ってもこうして助けられているのはありがたい話です。それに、悪意の一つもなく、桃太郎の尺八と甘露に惹かれてこのようなところまでついてくるあたり、愚かで素直で可愛らしいことこの上ありません。そういう意味では、元の飼い主から桃太郎に命を委ねられた挙げ句、鬼たちの生活を助けることになりそうな雉も大したものです。 何が幸いするかわからんし、こうして無事に鬼たちの摩羅に向き合えた幸いを思えば、こやつらの存在もありがたいことよと、桃太郎は慈愛に満ちた表情でお供の動物たちに向けて礼を口にしました。 ところで、そのような心境の変化がありつつも、もちろん桃太郎の摩羅は中途半端に勃ち上がったままでした。

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