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第24話

――増えておる。 目を覚ました桃太郎を心配そうに覗き込んでいたのは、猿と犬と三匹の鬼たちでした。権座の荒ら屋で目を覚ました時より増えた自分を心配する顔たちに、桃太郎は少々むず痒い思いがいたします。 どれほど眠ったのか辺りは暗く、天幕の中は嗅ぎ慣れないにおいを漂わせて燃える蝋燭で照らされていました。 桃太郎の体の下には動物の毛皮が敷かれ、体の上にはいかにも上等そうな手触りのよい布がかけられ、その上から更にまた毛皮が被せられており、むしろ少々暑いくらいです。 鬼たちはその厳めしい外見に反して、叱られるのを覚悟した子供のような顔で小さくなって座っておりました。 「情けない顔をするでない。別に怒ってなどおらぬわ」 軽い調子で言ったつもりでしたが、その声は弱々しく掠れて自分でも驚いてしまいます。未知の快感に追い込まれ、堪えることも思いつかぬほど溢れた声は、思えば旅に出る直前までほとんど使っていなかった喉から絞り出された物です。枯れてしまうのも無理はありませんでした。 逆に言えば、そのような声が迸るほど、鬼たちに与えられた快感は大きかったということです。桃太郎にとって鬼たちの遣り様は悪事であったはずがありません。 しかし、腹がぐぅぐぅと鳴り、横たわっていても強烈な空腹感に眩暈がします。絶食の後、犬と猿の子種を一度だけ飲んで、また甘露を吐き出してしまったのですから、腹が減るに決まっております。すぐにでも鬼の摩羅にしゃぶりつきたいのはやまやまでしたが、また発情した鬼たちに押さえ込まれればひとたまりもありません。かといって、最初のように鬼たちに遠慮されているといつまで経っても摩羅が吸えぬとさすがに学びましたので、桃太郎は仕方なく正攻法でいくことにしました。 よいか鬼どもよぅく聞け。そう言いながらよろよろと身を起こした桃太郎の背を、鬼たちが一斉に手を差し出して支えます。 「そなたらを一度に相手することはやぶさかではない。が、何しろこのように昏倒してしまうのでな。いくつか決め事をしようぞ」 鬼たちは神妙な顔で聞いておりますが、どの程度理解しているのかはっきりとしません。もうここは腰を据えてかかろうと、桃太郎は「摩羅、覚えておるか?摩羅じゃ。繰り返しや」と鬼たちの摩羅を順に指さします。鬼たちはこくこくと頷きながら一斉に「摩羅」と言いました。次いで再び摩羅を刺激しながら吸う動作をし、「尺八、じゃ。ほれ言うてみぃ」と促すと、鬼たちも「尺八」と繰り返します。 「そうじゃ。話が通じんで困るから、大事な言葉だけでもしっかり覚えろ」 にわかに桃太郎による鬼たちの教育が始まりました。鬼たちは物覚えがいい上に、自分からこれは何と言うのかと尋ねてくる熱心さがありましたので、桃太郎との会話に必要な言葉は次々と習得していきました。 そしてやっとのこと、 『桃太郎の摩羅に触れてもよいが、甘露を吐き出すほど触れるのは最後までとっておくこと』 『桃太郎の喉の奥を摩羅で突くのは非常に良いことだが、やりすぎると桃太郎は甘露を吐き出してしまうので加減すること』 『桃太郎が手遊びしようとしたら止めること』 『子種は適当に出さず、きちんと桃太郎に飲ませること』 と、とにかく桃太郎が昏倒せずに沢山子種を飲めるようにする決め事を鬼たちに理解させました。 こうして、色事に関する言葉だけが抜きん出て流暢な三匹の鬼が誕生したのです。 桃太郎が決め事さえ守れば後は好きにしてよいと言ったので、鬼たちは早速桃太郎にかけていた毛皮と外套を剥ぎ取り、顔色のあまりよくない桃太郎の頬に次々と恭しく口づけました。そして自分たちで最低限整えた桃太郎の着物の合わせからするりと手を挿し入れ、てんでに胸やら股間やらをまさぐります。 「モモタロサン 乳首オオキクナッタ」と言って赤鬼に嬉しげに乳首を摘ままれ、「摩羅カワイラシイネ」と言って青鬼にべろりと摩羅を舐められると、心地よさと共にすぐに興奮がもたげ、桃太郎の頬に赤みが差しました。 しかし、「ワタシニモ 尺八シテホシイデス」と目の前に立った黄鬼に摩羅を差し出されると、「いくらでもしゃぶってやるが、喉の奥を突いて貰えんと思うと楽しみも半減するのぅ」とため息をついてしまいます。 「モモタロサン 子種ダケジャ タリナイ? 喉の奥突いてほしい ノ?」首を傾げる黄鬼に、「こう、上顎をごりごりとしてな、その更に奥まで摩羅の先を押し込んで、喉彦を潰すように突かれるのがたまらんのよ。さりとてそなたの摩羅の大きさではのぅ」と詮無い繰り言を言ってしまいます。 すると三匹の鬼は顔を見合わせ、何やらぼそぼそと相談をし出しました。今回は押し付け合う様子はなく、むしろそれぞれ自分が自分がと主張しているようです。その間も鬼たちの手は休まることなく桃太郎の体を撫で回しておりましたので、桃太郎の乳首はすっかり勃ち上がり、鬼たちの指先を楽しませています。 これまではひたすら他人の摩羅を吸い舐るばかりだった桃太郎ですが、ここへ来て与えられる快感もすっかり覚えましたので、おとなしくされるに任せ、鬼たちに乳首をこりこりとされる気持ちよさに小さく声を上げていました。 どうしてこれまで自分で弄ってみなかったのだろうと不思議に思うほど、乳首への刺激は甘美です。真っ白な胸に二つ、腫れて真っ赤に色づいた乳首は痛々しいのですが、それがまた余計に扇情的な見た目になっていました。少し触れただけでもじぃんとしてしまうほど腫れているのに、その乳首を鬼の無骨な指で摘まんで少々乱暴に捻られると、声を我慢することなどできません。 痛いほどなのに感じてしまうのは、喉の奥を突かれるのと通じる悦びで、桃太郎は腰をくねらせながらついうっかり自分の摩羅に手を伸ばしてしまいました。 それを見咎めたのが赤鬼です。 「モモタロサン イケナイデショ」

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