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第25話

桃太郎がくちくちと音をさせて緩く己の摩羅を擦り出したところ、赤鬼に手首を掴んで止められました。 「わかっておるが気持ちよくてついのぅ」 手遊びし出したら止めるよう言い聞かせておいたのが功を奏してはおりますが、思うままに快感を貪りたい気持ちが強く、つい不満げな顔をしてしまいます。 出会った最初であれば桃太郎のその表情に気後れしたかもしれない鬼たちでしたが、桃太郎の快感に対する貪欲さを知った今となればどこ吹く風です。 「いやらしいヒト。甘露 デナイヨウニ シマショ」 と子供を叱るように言ったかと思うと、赤鬼は(いさ)めた桃太郎の片腕を離さないまま青鬼に顎をしゃくりました。 青鬼は心得たというように頷き、天幕の端にある豪奢な彫りが施された長持(ながもち)のような箱を漁って、何やら革の紐を数本取り出しました。よく見ると、鬼たちが腰巻の上部を留めている革紐と同じもののようです。 喜色を浮かべて革紐を数本ずつ赤鬼と黄鬼に手渡した青鬼は、桃太郎の背後に回り込むと、赤鬼が諌めていた桃太郎の腕を引き継ぎぐいっと後ろに引っ張りました。そして両腕を後ろ手に交差させ、持っていた太めの革紐で締め上げるように手首を巻いていきます。その手つきは機敏で、革紐を一回しするたびに桃太郎の手首はくっくっと締め付けられ、宙を踊る革紐の先が腕の内側の敏感な薄い皮膚を軽く打ちました。 桃太郎は縛られたまま平次に子種責めにされた時のことを思い出して、やにわに目がとろりとしてきます。 あぁこのまま手遊びを許されずに気持ちのよいことをされ続けるのかと、淫らな予感に空腹すら忘れるようです。 その表情を見た赤鬼と黄鬼は、にやりとした意地の悪い笑みを初めて見せました。ただでさえ快楽に従順な美しい若者が、手を縛られて発情を露わにしているのです。思うさま嬲ってやりたくなるのが雄の(さが)というものです。 黄鬼は桃太郎の肩をぐっと掴み、毛皮の上に押し倒しました。桃太郎の背後にいる青鬼は、下敷きになる桃太郎の縛られた両腕が痛くないよう、毛皮を寄せて包んでやります。そして桃太郎の顔の横に座り、いきり立った摩羅を興奮の溜息を漏らす桃太郎の唇の端に押し付けました。 「モモタロサン 喉の奥突いてホシカッタラ アシヒライテ」 桃太郎に否やがあるはずがありません。横を向いてぱくりと青鬼の摩羅の先端にかぶりつくと、膝を立てていた両足を惜しげもなくぱっかりと開きました。その恥じらいのない様子に鬼たちは忍び笑いを漏らします。そしてそれぞれが桃太郎の両膝を大きな手で掴んで更に割り開きました。 常に摩羅と共に生きてきた桃太郎は己の摩羅を晒すことにも何の逡巡もありませんでしたが、このように大きく開かれては尻の(あわい)まで見えてしまうと、さすがに頬に朱が上ります。 人の(ことわり)の外にある桃の精にとって菊座は不浄の穴ではありませんでしたが、人と共に暮らしてきましたので衆目に晒してはいけない恥ずかしい場所だという意識は身についておりました。 「イタカッタラ イッテクダサイ」「モモタロサン イタイノモ スキ?」 黄鬼が気遣い、赤鬼がからかうように聞きながら、二匹は桃太郎の膝を折り曲げさせ、足を伸ばせないように革紐で膝下と太腿をまとめてぐるぐる巻きにし、ぐっと力を入れて縛り上げました。そのままゆっくり両足を胸につけるように押し上げられると、桃太郎の体重が後ろ手に縛られた腕に乗り、尻がぐっと持ち上がります。 天幕の内を照らす蝋燭の炎がゆらゆらと揺れ、桃太郎の尻の狭間をちらちらと照らしていました。炎によって暗く翳った場所から明らかにされた桃太郎の菊座は、数え切れぬほど摩羅を咥えてきたぼってりとした唇とは異なり、楚々とした様子で慎ましやかに閉ざされております。そこをじいっと見つめる黄鬼と赤鬼の視線を感じ、桃太郎は菊座がひとりでにぎゅうと窄まるのがわかりました。 それでも青鬼の摩羅から口は離さず、顔を横に向けた不自由な体勢のまま深く摩羅を飲み込もうとしますが、天を突く角度とその大きさになかなか喉まで届きません。青鬼はゆるゆると腰を使って桃太郎の頬の内側の感触を楽しんでいますが、あえて喉を突かぬようにしているのは明らかでした。 甘露を吐き出すほどでなければ少しは突いてくれて構わないのに、ともどかしさに切なく眉根を寄せると、青鬼は悪戯めいた様子で目を細め、爪の先で桃太郎の両の乳首を軽く引っ掻きました。 「ふうん」 桃太郎は口を摩羅で塞がれたまま、鼻に抜けた声を上げます。そのまま触れるか触れないかという微かさで青鬼がかりかりと乳首を引っ掻き続けると、桃太郎はびくびくと体を震わせながら、赤鬼と黄鬼の目の前で摩羅から桃の香りのする滴をわずかに溢れさせます。 それを見た黄鬼は「モモタロサン 甘露デルヨ ダメデショ」と言い、青鬼に手渡された革紐の内一番細い物をおもむろに桃太郎の摩羅に巻き付け始めました。 小ぶりな玉と摩羅の根元を一つに束ねるように三重にきつく巻いた後、残った紐で竿を丁寧に巻き上げていきます。そうして器用にも先端だけ残して傘の下までみっちりと革紐で覆って結んでしまったので、桃太郎の摩羅は傘だけ色の異なる松茸のようになってしまいました。 顔を横に向けて青鬼の摩羅を熱心にしゃぶっている桃太郎にはその光景は見えていませんでしたが、自分の摩羅と玉がきつく締め付けられ、甘露を吐き出す自由を失ったのに、先端だけは敏感にひんやりとした空気にさらされていることは感覚でわかります。黄鬼が革紐で覆われた摩羅をからかうようにつんつんと突き、次いでそうっと扱きましたが、摩羅はじんじんとし、革のざらつきがわずかな痒みとなってもどかしい快感を生むばかりです。 その間も青鬼が桃太郎の乳首をかりかりと掻き続けておりましたので、上も下ももどかしく、桃太郎の体の中で神通力がぐるぐると渦を巻いてしまいます。荒れ狂う神通力を直接受けている青鬼の摩羅は、太い骨でも入っているのかと疑うほど硬くなり、桃太郎は咥えた唇ですらその硬さを味わってしまい興奮が止まりません。なけなしの腹筋を使って起き上がって喉で摩羅を味わおうとしますが、縛られた後ろ手に自らの体重が乗っていて果たせませんでした。 不自由でもどかしい快感がこのままずっと続くのかと少々辛く思い始めたその時、尻の(あわい)を生暖かく濡れた物がぞろりと這いました。 「んう!」 驚いて目線だけを向けると、なんと赤鬼がその厳めしい顔を桃太郎の尻に埋めているではありませんか。革紐で戒められたゆらゆら揺れる摩羅越しに、赤鬼が長い舌を出してぞろり…ぞろり…と尻の狭間をゆっくり舐め上げているのが見えます。 もちろんそのようなところを舐められたのは初めてで、桃太郎は戸惑いと羞恥に足を閉じようとしますが、それより早く黄鬼に足を押さえつけられてしまいました。 赤鬼の舌は何度か尻の狭間を行き来した後、小さな窄まりに狙いを定め、そこばかりを執拗に(ねぶ)り始めました。舌の面でべろりべろりと窄まりの周り全体を味わっていたかと思えば、尖らせた舌先で窄まりの中心をつんつんとつついたりします。 桃太郎はくすぐったさと恥ずかしさの他に、ざわざわとした感覚が尻から駆け上がってきていることに気付かざるをえません。 桃の精は人の姿を写して生まれておりましたが、排泄することがないためその窄まりは固く閉じられていて、桃太郎はこれまでその存在すら意識したことがありませんでした。ですので、鬼たちに必要な言葉を教えた際、三匹が三匹とも熱心にその窄まりの呼び名を尋ねてきたことを不思議に思っておりました。 「尻の穴でもよいが、上品に菊座とでも呼べ」と教えてやると三匹揃って「菊座」「菊座」「モモタロサンノ菊座」と嬉しげに繰り返しており、やはり鬼とはおかしなやつらじゃと思ったものです。 このように舌を這わされて初めて、そこに乳首とも摩羅とも異なる鋭敏な神経が通っていることを知りました。舐られて感じる羞恥とざわめきは、確実に快感の一種とわかります。 赤鬼は熱心に舐り、解そうとするようにしばらくは舌先で固い蕾を押していましたが、次第に舌に感じる固さが解けてきたのか、そろそろと、しかしはっきりした意思をもって舌を尖らせ、つぷりと窄まりに差し込みました。そしてそのまま唾液を送り込むように、何度も舌を窄まりに挿し入れます。 「んうううう」 尻の中を舐められるという感覚はおぞましく、それでいて菊座から摩羅へ甘美な稲妻が幾度となく走るようです。青鬼の摩羅を舐る桃太郎の舌使いは気づかぬうちに緩慢になり、こねられる乳首と締め上げられた摩羅と舐め解される菊座の感覚に体全部を支配されてしまいます。

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