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伊織(37)*

 ボタンを外された前立ての隙間から滑り込んできた手は、迷うことなくすぐにその尖りに触れる。 「…………あっ…………ッ」  触ってもらえるのを待ち望んでいたくせに、指先が掠めただけで堪え切れない声が漏れた。  掌で転がされ、指で摘まれて、背筋がゾクゾクと粟立っていく。  そうやって、教授は小さな尖りを指で弄びながら、パジャマの前を大きく広げて肩からずらし、首筋、鎖骨と徐々に下へと唇を滑らせた。 「……ッ、ぁ……もっ……」  もう片方の尖りに舌が這わされて、転がされ、音を立てて吸われて、ねっとりと唾液に濡れていくのが気持ちいい。  もっとして…………と、口に出してしまいそう。  そんな言葉は潤さんは言わない。  今、教授が抱いているのは、僕じゃなくて潤さんなんだから……。  だから、教授の髪に指を挿し入れて、軽く後ろに引いて、そこから離れてもらおうとしたのに……。 「ッ…………はっ、……ぁあっ、ん」  反抗しようとした両手は、あっけなく捕らえられ、片手で纏めて頭の上の床に押さえ付けられてしまう。  露わになった弱い脇の下を熱い舌が這い、僕は教授の身体の下で喘ぎながら、泳ぐように身を捩った。  そうしながら、教授のもう片方の手が下肢へと下りていく。 「…………ッ」  ズボンの中へと差し入れられた教授の手に、濡れた下着の上から半身を撫で上げられて、恥ずかしさで顔が熱く火照ってしまう。 「……すごく濡れてるね」 「…………うぅ……」  脇から腕の内側に舌を這わせていた教授に、顔を覗き込まれて言われた言葉が恥ずかしすぎて、僕はきつく目を閉じ、顔を背けた。 「可愛いよ……」  低く甘い声でそう言って、顔を背けたのに追いかけるようにまた覗き込まれて、唇を塞がれて。 「……ッ、ふ……ッう…………んん」  同時にぐっしょりと濡れた屹立を下着ごと上下に扱かれて、重ねた唇の隙間から次々と甘い吐息が零れていく。  キスしかしてない時から熱くなり、ずっと蜜を零していたそれは、もうすぐにでも達してしまいそう。  段々激しくなる愛撫の手から逃れたくて藻掻く脚に、教授の脚が絡みつき、身動きがとれなくなってしまった。  横向きの状態で、背後から回された片方の手に胸の尖りを捏ねられて、もう片方の手は下着をずらし、濡れそぼつ屹立を扱き上げる。  そうして愛撫の手を休めることなく、深いキスに咥内を貪られて、一気に追い上げられていく。  後ろからがっちりと脚で拘束されて、前にも後ろにも逃げられない。 「…………っは……ッんぅ…………ふ、ぁっ」  月のあかりと、スタンドライトの小さな電球色だけの薄暗い部屋に、粘着質で卑猥な水音と、僕の淫らな声が響いていた。

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