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伊織(42)*

 奥まで穿たれ、そしてギリギリまで引き抜かれ、また戻ってくる。  教授は、ゆっくりとした長めの抽挿を繰り返し、その度に前立腺を硬い先端で擦りあげ、奥に突き入れられる。  「……っ、ああっ」  目の前が真っ白に染まり、また鋭い快感が身体を突き抜けて、全身が戦慄いた。 「気持ちよさそうだね」 「っ、ああ、んっ……あっ、っ」  教授の問いに言葉で返せない。  もう、ずっと気持ちいい。それしか考えられなくて、教授のくれる快楽に身を委ねるしかなくて、僕の口からは、ひっきりなしに喘ぎ声が零れていた。  触られてもいない半身からは、とめどなく先走りが溢れ続けているけれど、イけそうでイけない。  でも、少しでも擦ればまた達してしまいそう。 「っ、ああっ!」  その半身に教授の手が触れてきて、思わず身体を強張らせてしまう。 「こっちもイきそう?」  妖艶な笑みを浮かべた教授に問われても、僕はただ首を縦に小さく何度も振るだけ。 「でも、もう少し我慢してくれるかい? 俺もそろそろ限界だから……」  ――――一緒に、イこう。  と言いながら、教授の手が僕の半身を宥めるように撫で上げる。 「っ、ぅあっ」  ヌルヌルとした感触が伝わってきて、どれだけ自分が興奮しているのかが分かる。もう、それだけでイきそうなのに。 「あっ、やぁ……っ…………ぅ」  滑りを纏った指で胸の尖りを撫でられて、またゾクゾクとした快感の波に襲われた。  自分で思っている以上に、身体が敏感になっていることに驚いた。  どこを触られても気持ちよくて、全身が性感帯みたいになっていて、全部が教授を求めている。 「……おいで」  逞しい腕に身体を引き上げられて、教授の膝に向い合わせで座る体勢になって、自分の重みで更に深く身体の奥まで貫かれた。 「――――っ、ああっ、あ」 「伊織……」  少し余裕のなくなってきた声で名前を呼ばれ、下から掬い上げるように唇を塞がれて、咥内で互いの舌が縺れ合う。  何度も角度を変え、舌を交わらせ、唾液が混ざり、注がれて。そうしながら、教授が下から突き上げてくる。 「……っ、ふぁ……っぅ…………っ、は……」  唇が解かれ、突き上げてくる速度が徐々に速くなっていく。  腰を支えられながら、揺さぶられ、僕は教授の肩にしがみ付く。 「……愛してるよ」  興奮に息を乱し、熱を纏った声が耳元に響く。 「……僕、も…………」  僕も――――――愛してます。  そう言おうとしたのに、途中で言葉が途切れてしまう。  教授の肩の向こうの、壁に立てかけられたAquarius(アクエリアス)……。  海に沈んだ少年は、身体に纏い付く青い水の色に溶けて消えてしまいそうに儚くて、哀しい。  ――美しいガニュメーデースの頬を伝う涙が、見えてしまったから。  

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