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Aquarius(10)*
「もう二度と離さない」
耳元に唇を寄せ、教授はそう囁く。
それは甘く切なく響く。狂おしく愛さずにはいられなかった人へ向けた言葉だった。
熱の籠った呼気が鼓膜を掠め、「愛してる、愛してる……」と、教授は何度も何度も囁く。
そう言われる度に、胸の奥が締め付けられるように苦しいのに、それがいつしか、自分への言葉だと錯覚してしまう。
いや、違う……。僕への言葉だと思ったわけじゃない。
僕は……、この人に愛されているその人になりたいんだ。
教授の熱い舌先が、首筋をなぞり胸へと下りて、胸の頂きを擽り、甘く食む。
掌が柔らかく肌を滑り、腰をなぞり、触れられたところが熱を帯びていく。
「舐めて……」
長めの前髪の隙間から、情欲に濡れた漆黒の瞳で見つめられ、唇に人差し指が触れる。
僕は舌を伸ばし、最初は人差し指だけを根元から先端へと丁寧に舐めて、そうして中指にも舌を這わせた。
そして唇を開き、その指を咥内へ迎え入れる。
憧れていたあの繊細な指先に咥内を撫でられて、僕は熱に蕩けた舌をそれに絡めて応えた。
やがて、たっぷりと唾液を纏わせ、咥内から引き抜かれた教授の指は、僕の後孔を何度もなぞり、ゆっくりと深く埋めていく。
「あ……っ、あ……」
唾液だけで濡らした指は、滑りがいいとは言えなくて、窄まりに多少の抵抗と痛みを覚えた。
だけど今の僕には、それがとても神聖な行為のように思えていたから、それくらいの痛みはやり過ごせる。
「もっとよく見せてくれ」
脚を大きく開かされ、指が増やされて、ゆっくりと中を探りながら、教授は期待に震える僕の肉芯に熱い舌を這わせる。
「あ……ダメ」
教授は唇を開き、それを先端から呑み込んでいく。根元まで咥えて何度も頭を上下させながら、絶妙な力加減で吸い上げては舌を絡める。
「や、ぁあッ」
同時にあの繊細な指先が前立腺を責める。 急速に追い詰められて、僕はあっと言う間に教授の咥内へ欲を吐き出してしまっていた。
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