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年下の彼 30
「先生?どうしました?」
「久々って……いつ以来だよ。」
「……え?えっと……」
「俺さ……おまえがペンケースを口実に深夜にうちに来た日、おまえが知らない女と歩いてるとこ見ちゃったんだよ。」
言わなきゃいいのに、
聞かなきゃいいのに、
分かってるけど、
気付いたら聞いていた……
いや、俺か気になって聞きたくて仕方なかったのかもしれない。
「まさか、見られてたとは思いませんでした。」
「いや、たまたま朝比奈と飲んでて、たまたま出くわして……だから……その……」
「気になってくれてたんですか?それとも嫉妬……してくれてるんですか?」
「は?!違うっ、気になっただけだ、あの女と……」
「あの女性と……セックス……したか?気になってくれたんですよね?」
「セッ……て、おまえは……」
真面目なこいつから“セックス”と聞くのは久しぶりで、久しぶりすぎて今日はなんだか妙に卑猥に聞こえてしまう。
「……シたと思います?」
「え……」
「セックス」
たまにドヤ顔で意地悪いこと言いやがるし、ドキッとすることを聞いてきたりするし……まったく……
「わ……わかんねーよ!だから……聞いてんだろ?」
「そんな顔しないでください……」
「ど……どんな顔だよっ……んんッ!」
完全に転がされている感が否めない俺が答えを聞く前に、そんな変なことを言われそのまま口を塞がれた。
「……ホントだ、にがいですね。」
それで、しれっとそんなことを言いやがる。
「おいっ!いきなりキスすんなっ!」
「だって、先生可愛いから。あんな顔されたらキスしたくなるんですよ。」
「……ったく。で、どっちなんだよ。」
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