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甘い罠 26
分かっているくせにそれでもいいと言うことなんだろうか。
「………分かっているなら尚更だろ?俺は……」
そこまでの男でもない。
それに………
また本気になってしまいそうな自分が怖い。
全てをこいつの所為にして、自分はそうではないと…どこかで、自分で自分を正当化している。
そんな卑怯なことを考える最低な男だ。
「許されないことなんて百も承知です。禁断の恋だとしても恋は恋。ただ、男同士で教師と生徒だっただけ……恋に違いはない。僕は別に隠すつもりもないです、例え今はまだセフレだとしても。」
だけど星川は、純粋に俺に好意を持っただけ。
大人の汚さなんて知らない、真っ直ぐな想い。
その真っ直ぐさが逆に踏み込めなくなる、臆病になる。
「どうしてそこまで言い切れるんだ。俺は……おまえみたいに優等生じゃない、くだらないクズみたいな男だぞ?セフレなんて持ち出した時点で最低だろ。」
身体の熱が冷めれば冷めただけ思考は冷静さを呼び戻し、数分前に抱かれたことすらもう過去の出来事かのように思える。
それでいいんだ。
まだ間に合う。
「やっぱり………」
「僕、そんな真面目に見えます?先生に心配されなくてもちゃんと上手くやれるんで大丈夫です。」
「え?」
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