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甘い罠 33

こいつのキスは媚薬みたいだ。 不安定な感覚が俺を狂わせ始め、 ……もどかしい。 「…………先生…ほら……言って?」 「………は、早く…触れ…ふっ…んッ…」 「……ふふふ。相変わらず素直じゃないですね。でも、そこも可愛い……」 「可愛いくなんか……んんッ…あッ…」 30過ぎのオッサンに可愛いとか……正直、喜べる訳がない。 だけど、こいつを視界に映すとすごく満足そうな顔で、もう一度“可愛い”なんて言うもんだからなんだか恥ずかしくなってしまった。 そしてすでに完勃ちして先走りで、ぬるぬるになっている俺のを握り扱かれると、一気に頭の中が快楽でいっぱいになる。 「……あッ…んんッ…」 気持ちよさに身悶え、俺は気付くと必死に、星川の背中に爪を立てていた。 「………もっと、感じて…もっと乱れて欲しい…早く……忘れるように…」 なんでそんなことを言い出したのかよく分からないが、それを問いただす余裕もない。 「………んんッ…出る、から…」 「イっていいですよ。僕は先生を裏切らない……“だから”────早く…………あの人を、忘れてください。」 俺をイかせる間際に言った言葉で繋がった気がした──── 星川は、 あいつを知っている……

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