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甘い罠 34

「……はぁっ…はぁっ……おまえ……」 「………さて、そろそろ起きましょうか。僕、朝ご飯作りますね。」 何事もなかったかのように俺の出した精液をティッシュで拭き取り、さっさとベッドを降りようとするから、俺は咄嗟に星川の腕を掴んでしまった。 「待てよっ!おまえ、なんで………」 「なんですか?」 なんですか、じゃねーよ。こいつ、しれっとした顔して朝飯とか言って話流そうとしてやがるな。 「“あの人”って、おまえ…あいつ知ってんのかよ?」 「聞いてたんですか?」 「当たり前だろっ。」 掴んだ腕を引き寄せ、もう一度ベッドへと引き戻すと、案外あっさりと言うことを聞いてくれた。 「あまりにも気持ち良さそうだったんで、聞こえてないものかと思ったんですが……」 そんな恥ずかしくなるようなこともあっさりと口にして、憎たらしいくらいの笑顔の星川が素早く俺のおでこに音を立ててキスを落とす。 「……ッ……う、うるせーな…ちゃんと聞こえてたし。」 そして嫌でもさっきの情事を思い出し、一気に顔が熱くなる。 「そうですか……。なら、仕方ない。……僕、先生とあの人……桐谷(キリタニ)先輩とのこと知ってます。」 ………“桐谷” と言う名前を久しぶりに聞いて、俺の心臓がドクンと波打つ。 ────桐谷 洵也(キリタニ ジュンヤ) かつて、俺が本気で好きになった奴……… だけど、俺たちは別れた。別れたと言うか……一方的に別れを告げられた。 まぁ、捨てられたってことになるんだが。 でも、どうして星川が洵也のことを……

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