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苦い過去 5

──────── ────── 忘れたはずの俺の苦い過去。 いや、忘れたはずだと思ったいたけどそう簡単には忘れられず……… 俺は、相変わらず中途半端。 そして、目の前で俺を好きだと言う星川も洵也と同じ生徒。 なにやってんだよ、俺。 もう何かを考えるのが嫌になって、星川に気付かれないよう小さくため息を吐きサイドテーブルに置かれた煙草に手を伸ばした。 「先生は、桐谷先輩のこと本気だったんでしょ?」 「………は?」 「僕、偶然二人が一緒のとこを見かけたことがあって……その…」 まさか、こいつ…… 「おまえ………見てたのか?!」 洵也とは学校ではなるべく二人になることは避けていた。 二人になるなら必ず室内。 だが……唯一、一度だけ二人で裏庭で話をした時がある。 それが、洵也と話した最後の日……つまり、別れようと言われたあの日だ。 「僕………その時、先生を好きになったんです。」 「はぁ?!おまっ、人がフラれたとこ見てなんで恋に墜ちんだよ?!」 全く意味がわかんねーし!一目惚れよりたち悪いだろっ!

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