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Lesson Ⅲ 儚い感情 1

「望月先生?俺の話聞いてました?」 「……あ?全然聞いてなかった。」 「だからー。もーちゃんと聞いててくださいよー。さっき言ったのは────」 洵也と偶然再会したあの雨の日からもうすぐ一週間。 俺はと言うと…… 「俺…帰っていい?」 「何言ってるんですかっ!?ダメです!!」 何故か後輩の朝比奈(アサヒナ)に無理矢理飲みに連れてこられている。 朝比奈は今年の春から教師になったばかりの新米で、職員室でのこいつとのデスクが隣同士ってだけの理由でやたらと話しかけられて、こうして相談と言う名のくだらない話をいつも聞かされ続けている。 今日も駅前にあるチェーン店の居酒屋で、朝比奈がほぼ一方的で喋るのを俺はビール片手に適当に相手する…といういつもの図が出来上がっていた。 ただ、いつもよりこいつの話が入ってこない。 まぁ、原因は分かっているといえば分かってはいるんだが…… 洵也と偶然とはいえ再会したこと。 そしてその日の星川はいつもより強引で、うちに寄ると一歩も譲らず、結局はズルズルといつものように流されそのまま泊めてしまったこと。 どちらかと言うと後者の方が何となく引っ掛かっていて、流され泊めたことに今更ながら後悔してしまっていた。

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