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儚い感情 2
「…………はぁ。」
「今ので8回目です、ため息。」
「うるせーよ、誰かさんみてーなこと言うなっ。」
「誰かさんて?!へ?!先生の彼女とか?!」
「………ッ…違うよ、ばーか。」
「じゃあ誰ですか?!」
「内緒だよ」
「えー……教えてくれたっていいじゃないですかー減るもんじゃあるまいしー」
「朝比奈に話すと減るんだよ。」
「マジっすか!?減っちゃうのかぁ…」
「馬鹿だな…おまえ。まぁ、俺の話はいいよ。」
こいつのテンションには付き合いきれない俺は、適当にあしらってグラスに半分程になったビールを一気に飲み干す。
……何故、後悔しているのか。
その理由を考えれば考える程勘違いしそうで、結局ははっきりした答えを出せないままでこうしてため息混じりの毎日を過ごしてしまっている。
「もう一杯飲みますよね?!追加しますねー」
「なに勝手に決めてんだよ。つーか、俺のことはいいから。相談あるんだろ?早く言えよ。」
「………ちぇっ、相変わらずガード固いっすね。ガチで彼女のことだと思ったのになぁ…」
「現代文教えてる教師がなんだその言葉遣い。」
「先生だって似たようなもんじゃないですかー」
「俺の専門は化学だ。現代文なんて全く関係ない。話ないならもう帰るぞ。」
「あー待ってください、話しますよ。あ、ビールも新しいの来ました、はいどーぞ。」
やたらと早く来た目の前のビールに視線を落とすと同時くらい再び朝比奈が口を開いた。
「先生………“禁断の恋”って、したことあります?」
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