71 / 190
儚い感情 4
そして、持っていたグラスをテーブルに置くと、ゆっくりと視線を流して俺を捉え朝比奈はそう聞いてきた。
「………どうもこうも、そんなの……断るに決まってんだろ。」
朝比奈にとっての“禁断”とは俺が今まさに関わっている事。
“教師と生徒の禁断の恋”
洵也のことはともかく、星川との関係は……
恋────とは、ちょっと違う…か。
だけど、自分で否定しながらも後ろめたい気持ちは十分ある。
一度ならまだしも二度も生徒と関係を持っているんだから当然だ。
「………なーんだ。もっともらしい答えでつまんないなぁー。先生って女の子好きそうだから1回くらいなら…とか言うかなぁと思ったのに。」
女……
そうだよな。まさか俺が男子生徒と…なんて考えもしないだろう。
「おまえ後輩のくせにひでー言い方だな。俺はそんな見境なく女に手出したりしねーよ。つか、そんなの聞いてなんになるんだよ。まさか……」
「俺じゃないっすよ?俺、そんなモテないですもん。」
「じゃあ何でだよ。」
「実は────」
そして、朝比奈が口にしたその理由とは、とんでもなく突拍子もないものだった。
ともだちにシェアしよう!