83 / 190

儚い感情 16

それだけ吐き捨てるように言うと再び唇をそれで塞がれキスが再開された。 一頻り咥内を星川の舌で荒らされ続けた後に唇が離れると、お互いを銀色の糸が繋いでいたがそれが切れてもなお、星川の濡れた瞳は俺を捕らえたまま。 そんな事を言われたって、“好き”か、なんて…… 「…………そんなこと、」 わからない。 「桐谷先輩のこと…まだ好きなんでしょう?」 「違うっ。あいつとは終わったんだ。」 洵也とは終わったはずなのに、この前偶然再会して俺は動揺してしまったのは事実。 でも、洵也をまだ好きなわけはない。それはない。 「じゃあ、なんでそんな顔してるんですか?あの日、生徒会室に戻ってきた時みたいに泣きそうな顔…してます。」 「そんなこと、ない。違う。俺はもうっ………」 誰も本気で好きにならないと決めたはず。 星川にだってセフレを承諾した時に言ったはずなのに、狡いとか…おまえが狡いだろ。 「俺はもう、誰とも本気の恋愛はしないと言ったはずだ。おまえにだって言ったろ?」 「……はい。確かに、あの時は今はそれでもいいと言った。初めは先生の心が伴わなくても、僕が好きならそれでもいいと思ったし、いつか好きになってくれるまで待とうと思ったから。でも、桐谷先輩に初めて会ったあの日から少しずつ違う感情が湧き上がって、あの噂も気になって……結構、今焦ってるんです。」 「噂……?」 まさか……

ともだちにシェアしよう!