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儚い感情 18
だから、この関係は俺にとっては都合がいい。
星川が言うように、身体だけが順応になるのは仕方ないことなのかもしれない。強く気持ちを求められるわけではないから。
そこが洵也とは違うとこ。
洵也は求めた分だけ求め返して欲しいタイプだったから、“好きだ”と言った後に“小太郎は?”と必ず聞き返されていた。
だけど星川にはそれがないから、こんな風に“優等生”だと逆にそれでいいのだろうかと思う。
矛盾しているのは十分承知なんだけど……
「おまえ……」
「苦しい…ですか?」
「いや、違くて。おまえはそれでいいのか?」
自分から気持ちを伴わない関係を望んだのに、こんなこと聞くなんてやっぱり矛盾している。
「え?」
身体を離して少し驚いたような顔で見下ろされ、咄嗟に視線を外してしまった。
「いや、おまえって…なんて言うか、妙に淡白な時あるから…その…欲は湧かないのか…って…」
なのに、何を今さら俺は言ってるんだ。
「もっと欲しがって欲しいんですか?」
「違っ…そうじゃなくて…」
「じゃあ、なんですか?」
シーツに半分顔を埋め、視線をそらしたまま俺は言葉を探す。
「あの……おまえは、俺と…ずっとセフレのままでいいのかなって…」
立場上、こんなこと聞くなんておかしいって分かってるのに、気付いたら口走っていた。
「“今は”いいです。でも、なら…1つだけお願いがあります。」
「お願い?」
「はい……僕とデートしてください。先生と、デートがしたいです。」
デート……だと?!
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